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責任準備金は生命保険選びのポイントとなる
責任準備金は一見、保険の加入者にとってはあまり関係がないかのように思われるかもしれませんが、実は、加入する生命保険を選ぶうえで責任準備金は非常に大切な比較材料となるのです。
責任準備金の基本的な意味と仕組みについて、詳しく掘り下げていきます。
生命保険の責任準備金について
生命保険会社の説明にある責任準備金とは、大まかに言うと、「不測の事態にそなえて保険会社が準備しておくべき資金」のことです。
責任準備金といっても実際には保険加入者が毎月支払っている保険料から一部が積み立てられていく形になります。
責任準備金の酒類の違いと、それぞれの比較基準についてくわしくみていきましょう。
予測以内の保険契約者に支払う保険金
責任準備金という時の責任とは保険会社が負うべきもので、万一の倒産、債務不履行、契約内容の変更などにそなえて月々の保険料からこつこつと積み立てられていきます。
責任準備金は保険業法によって義務づけられたシステムであり、積立の比率こそ異なりますがどの保険会社も必ず一定の割合で責任準備金を留保しています。
責任準備金の詳細についてはどの保険会社も公表していませんが、保険加入時に説明をもとめればくわしく教えてもらえますし、配布されるパンフレットに記載されている場合もあります。
毎月の支払保険料から積立られている
責任準備金の出どころは、保険加入者が毎月支払っている保険料になります。
つまり、保険会社に万一のトラブルがあった場合には自分たちが毎月積み立ててきたお金のなかから保障を受ける、という形になるのです。
責任準備金の算定式はやや複雑ですが、基本的には「将来支払われると見られる保険金の原価から保険会社が将来的に受け取る利益の原価」を差し引いてもとめられています。
「どの程度の責任準備金を積み立てているか」を表した指標が積立水準であり、この指標が高いほど保険会社として健全な経営をつづけていると考えることができ、加入した際にも手厚い保障やアフターサービスが受けられる可能性が高いと言えます。
支払い義務に対する保険会社の支払い能力
責任準備金の水準をくわしく見ていくことで、保険会社ごとの保険金の支払い能力を目に見えるかたちで比較することができます。
当然、積立水準が高いほど支払い能力が安定していると考えることができますが、必ずしも「大手の保険会社ほど支払い能力が高い」ということにはなりません。
逆もまた然りで、中堅の保険会社であってもしっかりと責任準備金によってリスクにそなえているところはありますので、会社の規模だけで安易に判断せず、保険に加入する際には積立水準などの指標を参考にしましょう。
定期型は減っていき積立型は増えていく
責任準備金の積立額や積立形態は保険の契約内容によっても違いが出てきます。
原則として定期型の保険では責任準備金が減っていく傾向にあり、積立型では契約年数が長くなるにしたがって増えていく形となっています。
責任準備金の詳細はほとんどの保険会社がはっきりとは公表していませんが、保険会社ごとに「ディスクロージャー誌」を発行し、責任準備金だけでなく後述するソルベンシーマージン比率や会社としての経営理念などを公開することが義務づけられています。
ディスクロージャー誌はウェブ上でも公開されていますので、保険会社の名前と合わせて検索すればどなたでも簡単に閲覧することが可能です。
解約返戻金とその違いについて
責任準備金と意味のよく似ている言葉に、解約返戻金があります。
どちらも保険会社側が準備すべきものですが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
保険解約時に契約者に支払う金額
解約返戻金とは、保険加入者が保険の加入期間中に何らかの理由によって保険を解約した場合に保険会社から支払われるお金です。
解約返戻金には、従来型、低解約返戻金、無解約返戻金の3つのパターンであり、無解約返戻金型の保険商品では解約返戻金は支払われません。
解約返戻金については保険の加入時に説明を受けられますので、加入の際に必ずどのパターンなのか確認しておきましょう。
責任準備金より少額に設定されている
責任準備金と解約返戻金。
名前がまったく違うため別物のように感じられるかもしれませんが、実際には解約返戻金は責任準備金の一部から支払われています。
したがって、解約返戻金は必ず責任準備金よりもやや低い水準におさえられており、この関係が逆転することはありません。
言い換えれば、解約返戻金は責任準備金に比例して大きくなっていくと考えることができ、「責任準備金が手厚い=支払い能力が高い」保険会社のほうがいろいろな意味で手厚い保障を受けられると言えます。
ソルベンシーマージンとその違いについて
責任準備金とワンセットで説明されることの多いソルベンシーマージン。
日本語では「支払余力」と訳され、想定外のリスクに対する保険会社の経営体力を表しています。
責任準備金とソルベンシーマージンについてくわしくお伝えします。
保険会社の余力により積立てられている金額
責任準備金が「想定内のリスクに対応するための積立金」であるとするなら、ソルベンシーマージンは地震や水害など、現時点で発生時期が予測できないリスクに対応するための余力であると解釈できます。
ソルベンシーマージン比率を比較することで保険会社ごとの安全度をチェックすることができ、一般にソルベンシーマージン比率が200%を超えていれば保険会社としては安全であると考えてよい、とされています。
予測以上に契約者に支払う保険金
ソルベンシーマージンは保険加入期間中必ず支払われるとはかぎりません。
ただ、日本が災害大国である以上ソルベンシーマージン比率はきわめて重要な指標と考えることができ、加入前に必ずチェックしておくべきポイントと言えます。
自分の保険の責任準備金を知る方法
責任準備金は基本的に、はっきりとした数値としては公表されていませんが、ディスクロージャー誌をきちんと読み込むことで確認できますし、保険の加入時に担当者にたずねればくわしく説明してもらうことができます。
計算方法はあるが明確な金額の開示はない
責任準備金は厳密な計算式によって算出されるパラメータのひとつです。
パンフレットなどには具体的な金額の開示はありませんが、計算式そのものはいたってシンプルで、「受け取る保険料の原価と支払う保険料の原価」を基準にして導き出されています。
責任準備金、および解約返戻金は保険に加入するうえできわめて重要なポイントになりますので、加入前に必ず担当者に相談をし、責任準備金が基本の相場に沿っているか、ということについてくわしく理解したうえで加入するようにしましょう。
本当に信頼できる保険会社であればどんな質問にも細かく丁寧にこたえてくれるはずですので、質問への対応を保険選びの目安にするのもひとつの方法です。
解約返戻金を目安に考える
責任準備金は必ず、解約返戻金よりも高く設定されています。
責任準備金の一部が解約返戻金にあてられているためで、裏を返せば、解約返戻金のおおよその水準がわかれば自然と責任準備金の金額も推測することができる、ということになります。
解約返戻金については保険の加入時にパンフレットなどで説明されますので、おろそかにせずにきちんと確認するようにしましょう。
転換制度のある保険は下取り金額に相当する
保険の下取り、というと制度に不慣れな方にはあまりピンとこないかもしれませんが、同じ保険に長期間加入していると、担当者のほうから保険の転換を勧められる場合があります。
この時の転換価格がすなわちその時点での責任準備金であり、保険会社の体力レベルと考えることができます。
保険会社又は担当者に直接問合わせができる
責任準備金や解約返戻金だけでなく、生命保険の仕組みは意外と複雑です。
初心者の方にとってはややこしくてわかりにくいかもしれませんが、担当者や保険会社の責任者に問い合わせればいつでもくわしい説明を受けられますので、保険に関して少しでも不明な点があれば何度でも相談するようにしましょう。
保険選びのポイントに責任準備金を理解しよう
責任準備金や解約返戻金は、保険を選ぶうえで重要なチェックポイントになります。
しかし、説明書や契約書を見返しても、どこにその説明が記載されているのかが、なかなか見つからないものです。
このように自分だけですべてを理解するには時間がかかりますので、まずは担当者とよく相談のうえ、納得のいくかたちで保険に加入しましょう。