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【ケース別】詳しくわかる知っておきたい退職金の平均金額と計算方法

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平均的な退職金や知っておきたい退職金の計算方法とは

退職金とは、企業などから退職者に対して支給される手当です。
ただ、退職金の制度は法律で決まっているわけではなく、企業によって金額が違います。
そんな退職金ですが、平均的な退職金の額や退職金の計算方法等を紹介していきます。

退職金の平均に影響する様々な要因について

退職金の金額は、法律で決められているものではないので、各企業によって違います。
一般的に退職金の平均に影響するさまざまな要因とは何か考えていきましょう。

退職金平均は勤続年数や退職理由などに影響される

退職金制度は、法律で定められた制度ではありません。
そのため企業によっさまざまな金額と制度が、多くの企業では就業規則で定められています。
企業の規模や、定年退職、早期退職、高卒、大卒、職種などによって退職金の平均額は変わってきます。
また自己都合の退職の場合は、一般的に定年退職や会社都合の退職の場合よりも退職金の額は少なくなります。

課長や部長などの役職は退職金に影響が少ない

課長や部長などの役職についている人には、退職金が多く支払われていると思われがちですが、必ずしもそうではないようです。
課長や部長などの役職の退職金額に関する、統一された算出方法の規定がないからです。
退職一時金の金額を算出する方法のひとつで、退職時の基本給をもとにして計算する方法で計算すると、
「基本給」×「勤続年数」×「給付率」=「退職一時金」
となります。
この場合、以前は多くの企業が採用していた算出方法ですが、企業の業績に関係なく上昇していくことや社員の企業への貢献度(役職など)が反映されないことがデメリットになっていました。
また会社によっては、役職や職務等級などでポイント制で算出する企業もありますので、業界や企業が同じでも退職金の金額に違いが出るのです。

役員の地位は退職金に影響する

会社の役員にもなると、企業への貢献度も大きいとされ退職金が多くなりますが、法人税法上では、不相当に高額な役員退職金は認められていません。
しかし、法人税法でも役員退職金の算出方法は決められてないのです。

不相当な部分の金額が認められていなくても、いくら役員退職金を支給しても構わないのですが、法人税において損金にできる金額が決まっているということになります。

役員の退職金算出には功績倍率が使われることが多い

功績倍率法とは、役員の退職直前に支給した給与の額を基礎とし、役員の法人業務に従事した期間及び役員の職責に応じた倍率を乗ずる方法により支給する金額が算定される方法で、一般的に役員の退職金の支給額を算出する計算として使われている算出方法は、
・「最終役員報酬」×「役員在任年数」×「功績倍率」
が、使われています。
この「功績倍率」の計算方法は、
・「退職金額」÷(役員報酬×在任年数)=「功績倍率」
で計算し、同業他社と比較検討し決定する方法が一般的です。

定年退職の際の退職金の平均金額について

平成25年の厚労省のアンケート調査による、一般サラリーマンの定年退職時の平均退職金のについてみてみましょう。
調査は、「勤続20年以上、かつ45歳以上」を対象とした平均値です。

学歴で見る定年退職のサラリーマンの平均退職金

? ? 大学卒   1,941万円
? ? 高校卒(管理・事務・技術職)   1,673万円
? ? 高校卒(現業)   1,123万円

高卒の方は勤続年数が長いのですが、大卒の基本給の金額の高さによって違いが出て来るのです。

企業規模で見る定年退職のサラリーマンが受け取る平均退職金

?   大企業   中小企業
  大卒  2,489万円   1,139万円
  高卒  2,268万円   1,083万円

・定年退職時のモデル退職金額

大企業の定年退職金は鉱業や映画業界が強い

・定年退職者の産業別平均退職金額ランキング20

 順位?   産業  社数  平均退職金額
 1   鉱業  2  31,591
 2   映画  2  29,903
 3  私鉄・バス  13  26,661
 4  海運・倉庫  5  26,360
 5  電気機器  4  24,400
 6   建設  8  23,414
 7  新聞・放送  3  23,128
 8   電力?  2  23,090
 9   石油  2  22,810
 10 ?パルプ・製紙  2  22,322
 11   造船  3  21,651
 12 ?その他の化学  9  21,256
 13   化繊  4  20,413
 14   機械  10  19,723
 15   綿紡  2  19,236
 16 ?食品・たばこ  15  18,678
 17   窯業  5  18,079
 18 ? 総合化学  3  16,267
 19 百貨店・スーパー  3  15,664
 20   商事  3  14,920

(単位 千円)
参考:中央労働委員会 平成26年度賃金事情等調査

公務員の定年退職における退職金は一般企業にも匹敵する

公務員と民間企業ではどのくらい退職院に差があるのでしょうか?

教師の定年退職金の金額は月給の60か月分を基礎とする

教員と校長では定年退職金の金額は大きく変わってきます。
月給の差や学校により違ってくるのですが、退職金は、月給の60か月分に相当します。
校長なら、管理職手当も数百万プラスされるので、校長の場合、月給50万×60カ月分+管理職手当と約3千万円となります。

教員の場合、給与中の最高額40万円×60カ月分なので約2千万円と、1千万円ほど少なくなります。

国家公務員の定年退職金の金額は大手企業にも引けを取らない

国家公務員の大卒の定年退職時の退職金額は、平均「25,377千円」と民間企業の大卒の定年退職金額の平均「24,596千円」を上回っています。

地方公務員の定年退職金平均も2000万円超

地方公務員の退職金の平均支給額を都道府県と指定都市で比べてみました。

・都道府県の定年退職金平均支給額

   職種別  退職金平均支給額
   全職種   2,296万円
  一般職員   2,241万円
一般職員の内一般行政職員   2,266万円
  教育公務員   2,333万円
  警察職   2,191万円

・指定都市の定年退職時平均支給額

  職種別  退職金平均支給額
  全職種   2,337万円
  一般職員   2,338万円
 一般職員の内一般行政職   2,357万円
  教育公務員   2,366万円

定年退職時の退職金の平均額は、都道府県で2296万円、指定都市で2337万円となりました。

会社都合や自己都合による早期退職金平均金額について

会社都合や自己都合による退職金の平均額についても見ていきましょう。

勤続年数や退職理由は退職金に影響する

会社都合で退職するか、自己都合で退職するかでは退職金の額に差が出ます。
例えば、勤続5年・大卒・大企業の場合、自己都合の退職金34万円、会社都合70万円と約2倍の差があります。

退職金が受け取れない勤続3年の壁がある

勤続年数が3年に満たない場合、東京産業労働局の調べで、約半数の企業では、自己都合の場合の退職金が受け取れないという結果がありました。
会社の就業規則を確認しすることも大切です。

勤続年数と共に増える退職金平均金額

勤続年数によって退職金の平均額も上がっていきますが、企業規模によっても退職金の平均額は変わってきます。

【大企業】

勤続年数 年齢 自己都合(大卒) 自己都合(高卒)
3年 25歳 34万円 27万円
5年 27歳 65万円 52万円
10年 32歳 192万円 142万円
15年 37歳 422万円 294万円
20年 42歳 812万円 605万円
25年 47歳 1,290万円 978万円
30年 52歳 1,942万円 1,356万円

 

大企業の早期退職金は会社都合ならば5年目から100万超

自己都合の退職金額より、会社都合の退職金額の方が、1.5倍から2倍の金額になります。

【大企業】

勤続年数 年齢 会社都合(大卒) 会社都合(高卒)
3年 25歳 70万円 50万円
5年 27歳 120万円 92万円
10年 32歳 316万円 227万円
15年 37歳 605万円 421万円
20年 42歳 978万円 746万円
25年 47歳 1,471万円 1,132万円
30年 52歳 2,112万円 1,528万円

会社都合での退職金は海運や倉庫業界の大手企業が強い

産業別の会社都合退職金額ランキング15

順位 産業 社数 平均退職金額(単位千円)
1 海運・倉庫 2 39,010
2 パルプ・製紙 2? 34,500
3 石油 2? 30,875?
4 鉱業 2? 24,755?
5 窯業 3? 22,070?
6 車両・自動車 4? 21,425?
7 建設 6? 20,422?
8 私鉄・バス 5? 19,652?
9 食品・たばこ 6? 18,087?
10 化繊 2? 17,200?
11 総合化学 2? 16,665?
12 映画 3? 16,528?
13 電気機器 4? 14,768?
14 機械 6? 12,978?
15 商事 2? 12,628?

自己都合での退職金は石油業界の大手企業が強い

産業別の自己都合退職金額ランキング20

順位 産業 社数 平均退職金額(単位千円)
1 石油 2 17,615
2 新聞・放送 3? 11,576
3 電力 2? 8,746
4 商事 4? 8,372
5 私鉄・バス 14? 7,883
6 海運・倉庫 4? 7,768
7 その他化学 8? 7,560
8 機械 10? 6,959
9 鉱業 2? 6,850
10 建設 7? 6,522
11 百貨店・スーパー 3? 6,011
12 製鉄・製鋼 3? 4,976
13 電気機器 4? 4,647
14 窯業 5? 4,477
15 パルプ・製紙 2? 3,792
16 総合化学 3? 3,043
17 食品・たばこ 14? 2,895
18 その他産業 2? 2,826
19 造船 3? 2,356
20 映画 3? 2,318

 

中小企業の早期退職金平均は10年目から100万超

中小企業の自己都合による勤続年数別退職金額

勤続年数 年齢 自己都合(大卒) 自己都合(高卒)
3年 25歳 24万円 16万円
5年 27歳 44万円 32万円
10年 32歳 115万円? 91万円?
15年 37歳 225万円 175万円?
20年 42歳 381万円? 298万円?
25年 47歳 563万円? 445万円?
30年 52歳 749万円? 617万円?

中小企業の会社都合による勤続年数別退職金額

勤続年数 年齢 会社都合(大卒) 会社都合(高卒)
3年 25歳 38万円 26万円
5年 27歳 63万円? 47万円?
10年 32歳 153万円? 122万円?
15年 37歳 285万円? 226万円?
20年 42歳 458万円? 362万円?
25年 47歳 647万円? 524万円?
30年 52歳 856万円? 704万円?

公務員の早期退職における退職金は一般企業にも匹敵する

退職手当額=基本額(退職日給料月額×退職理由別・勤続年数別支給率)+調整額(調整月額の内その額が多いものから60ヶ月の額を合計した額)
勤続10年で600万円超の退職金が支給されることもあります。

公務員は退職金支給額の算出制度が公開されている

公務員の給与や退職金は、50人以上の民間企業に準ずるするように決まっています。
そして退職金は5年ごとに調査を行い、改定がされるルールになっています。
そして公務員の間でも、早期退職者優遇制度があります。
早期退職者の対象となるのは、「45歳以上」で、退職手当の加算率が3%にあがります。

公務員の退職金例

・退職金の例として、退職日給与月額30万円・勤続10年一般事務職10級
基本額=30万円×10=300万円
調整額=5万円×4150円×60=324万9000円
退職手当=624万900円
と計算できます。

知っておきたい退職金の制度について

退職金制とは、正式には「退職給付制度」といわれ、支給形態によって「退職一時金制度」と「退職年金制度」に分かれます。
「退職給付金制度」について見て行きましょう。

退職一時金制度は一度に退職金を受け取る

退職にあたり、勤務先の企業から一時的に支払われる金銭のことです。
一時金で受け取る場合、退職所得税控除を引いた後の退職所得の金額に対して所得税が課せられますが、退職所得に関しては、優遇税制があり、過剰に税収されることはありません。

企業年金制度は長期間にわたって退職金を受け取る

企業年金制度とは、公的年金とは別に選択的に設定する年金制度です。
退職金は、一括での支払いではなく、分割で支払らわれます。
退職一時金として受けっとった場合、退職所得として課税されますが、年金制度で受けよる場合、公的年金等の制度と同じ、雑所得として課税されます。

企業年金制度とは

企業年金制度は、退職金を分割して退職後に少しずつ受取る場合をいいます。
分割した企業年金の運用方法により「確定給付型」「確定拠出型」「共済型」と3つに分かれます。
現在は、「確定給付年金」と「確定拠出年金」が中心で、「確定拠出年金」を導入する企業が急増しています。

前払い制度は月給に退職金が上乗せされる

退職金の前払い制度とは、退職金を月給や賞与に上乗せして前払いする制度のことです。
退職金を在職中に受け取る制度で、将来の退職給付責務を圧縮できるメリットがあります。
働きか他の多様化に対応する制度です。
毎月の給与と同様所得税が課せられ、社会保険料も支払わなくてはいけません。

年金401kは自分で掛け金を運用する

年金401kとは、「確定拠出年金」を言います。
企業や、加入者が毎月一定の掛け金を拠出して、自分で運用します。
支払われた掛け金が、自分の口座に積み立てられ、運用して得られた給付金が将来的に自分に返ってくるというイメージです。
運用次第で、将来受け取れる年金額が変わってきます。

確定拠出年金には、個人年金と企業年金があり、個人年金は、自営業・公務員・専業主婦・専業主夫が加入できる年金です。
また、企業年金は、「確定拠出年金制度」を導入している企業の会社員が対象になります。

個人型年金401kは税制優遇もあり

個人型年金の掛け金全額が、所得控除の対象となり、所得税と住民税が減税されます。
企業年金では、企業が掛け金を負担していることが多いので、企業の損金として処理され、税制上の扱いが変わってきます。

年金401kでは将来3種類の給付金が受け取り可能に

年金401kでは、将来的に受け取れる給付金が3種類あります。
年金または一時金として支給される「老齢給付金」。
高度障害時に年金または一時金として支給される「障害給付金」。
死亡時に一時金として支給される「死亡一時金」。
の3種類です。

401k個人向けの掛け金平均金額は約15,000円

個人型確定拠出年金(iDeCo)の場合、掛け金額は月額5000円から拠出限度額までの範囲内で加入者が自由に決めることができます。
個人向け掛け金の平均掛額は、約15,000円です。
また、自営業者の平均掛金額は、約25,000円となっています。

401k企業向けの掛け金上乗せ金額は平均約7800円

企業型DCの場合、事業主掛け金は会社が決めますが、加入者が自ら掛け金の上乗せができる「マッチング拠出」という制度もあります。
「マッチング拠出」の平均額は、約7,800円となっています。

退職金の近年の傾向について

退職金制度は、老後の生活資金として非常に重要なお金になります。
その退職金制度の近年の傾向はどのようになっているのでしょうか?

近年の退職金の平均金額は減少傾向に

退職金の平均受給額は、減少傾向にあります。
成果主義のポイント制の導入などで、管理職になれないまま定年退職することも珍しくなくなり、その結果ポイントが積み上げられなくなり退職金が低く抑えられるサラリーマンが増えたり、退職給付金制度も見直す企業が増えたことも要因です。

? 平成14年 平成24年