UKANO家計のクリニック

初任給の手取りはいくら?平均額・天引き額についても知ろう

初任給の手取りはいくらになるのか

「初任給において、どれくらい保険や税金などが引かれるのか知りたい」という新入社員は少なくありません。
自分で自由に使用できる金額は、手元に残ったお金のみです。
給料から引かれるものや最終学歴・業種別の初任給について解説します。
給料に関する知識を深め、ライフプランの作成や貯金などにお役立てください。

手取りとは

手取りとは、自分で自由に使える税金などが引かれた残高のことです。
「可処分所得」とも呼ばれています。
こうした手取りだけではなく、額面についても解説します。

実際に手元に入ってくる金額

給料日や給料日の前に「給与明細書」を会社からもらえます。
これには、その月の給料に関するさまざまなことが記載されています。
企業側が社員に支払う金額のすべてを「額面」と呼び、ここから所得税や住民税、社会保険料などが引かれ、銀行口座に振り込まれたものが「手取り」となります。

額面よりも手取りは、それなりに低い金額になるでしょう。
入社前に給与を提示されることがありますが、その金額すべてがもらえるとは限りませんので、税金や保険料について見識を深めておくべきです。

可処分所得ともいう

手取りのことを「可処分所得(かしょぶんしょとく)」ということもあります。
可処分所得の中から、家賃や光熱費を払ったり、自分の好きなようにお金を使うことができます。
可処分所得から、生活の中で使用する金額を引いたものが貯蓄にできます。
給与が上がった場合でも、可処分所得が増えるとともに、税金なども支払う金額が大きくなりますので、消費支出に気を付けなければなりません。

可処分所得も、会社からもらえる「給与明細書」で確認できます。
どれくらい保険料で引かれ、自分ではどの程度自由に使えるのか、計算しながら生計を立てていく必要があります。

初任給の平均

高卒・大卒などの最終学歴において、平均的な初任給はどれくらいなのでしょうか、また、業界別についてもお伝えしますので、気になる業界や自身が身を置いている業界などをチェックしてみてください。

高卒初任給の平均

高卒初任給の平均値は、およそ16万円です。
他の学歴と比較すれば、もっとも低い初任給になるでしょう。
年収も、150万円から180万円程度ですので、決して高い金額とは言えません。
では、手取りではどれくらいの金額になるのでしょうか。
可処分所得は、おおよそ13万円から14万円です。
額面だけではなく、手取りも大卒などと比べると、一番低くなりますが、会社や職種などによって変動しますので、人によっては目を見張るような高年収も実現可能でしょう。

短大卒の場合

最終学歴が短大卒の場合、平均値としては、だいたい17万円から18万円程度です。
年収では、170万円以上になり、200万円に到達する人もいるでしょう。
高卒と比べると、学歴が高い分だけ、初任給も上がることになります。
手取りは、おおよそ15万円ですので、高卒よりも1万円高いことになり、家計のやりくりが楽になるといえるでしょう。
学歴が高くなればなるほど、初任給の平均値が上がります。

大卒初任給の平均

大卒であれば、平均初任給は、男女ともに20万円を超えます。
女性のほうが数千円低いですが、大した差はありません。
ここ数年は、20万円程度の平均値が続いていますので、この数値を目安にするとよいでしょう。
年収では、もちろん200万円を超えることがほとんどです。
手取りは16万円から17万円以上になりますので、高卒や短大卒以上に、自由に使用できる金額が手元に残ります。

【参考:http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/17/01.html

業界別初任給平均

業界別の初任給をご紹介します。
高卒の男性でもっとも高い初任給は、建設業です。
17万円以上になりますので、平均値の16万円程度よりも、おおよそ1万円高い数値です。
高卒の女性でも、建設業は上位を占めています。
大卒の場合は、情報通信業や学術研究などの業界は、21万円を超えています。
男性であれば、金融や保険、教育などは、他業界よりも初任給が高い傾向にあるといえます。

【参考:http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/17/03.html

大学院修士課程修了の場合

最終学歴によって平均初任給が異なりますが、大学院修士課程修了のケースではどうでしょうか。
この学歴がもっとも高く、平均の初任給は23万円以上です。
男女で多少の差はあるものの、例年22万円以上の金額ですので、おのずと年収も高くなります。
大卒と比較しても、グッと給料が上がりますので、生活にもゆとりが出てくるでしょう。

【参考:http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/16/dl/02.pdf

初任給から天引きされるもの

初任給から引かれるものについて具体的にみていきましょう。
ひとつは、仕事を失った時に役立つ雇用保険です。
もうひとつは、所得に関する税金です。
それぞれを詳しく解説いきます。

失業した時のための雇用保険

雇用保険は、失業保険とも呼ばれているものです。
これは、会社を辞めたあとの給与の代わりになり、転職活動をしているときの資金源になります。
雇用保険をもらうためには、「会社が倒産してしまった」「起業するために」などの理由によって、条件が異なりますので、十分ご注意ください。

初任給から雇用保険を引かれる金額は、基本的には給与から0.3%ですので、それほど大きな金額とはいえないでしょう。
退職する予定のある人は、ハローワークなどでしっかりと受給額などについて確認しておいてください。

個人の所得に対して発生する所得税

所得税も初任給から引かれます。
所得税とは、文字通り、所得に対する税金ですが、給与によって引かれる金額が異なり、年収が高ければ高いほど、税率が上がる仕組みになっています。
もちろん初任給の段階では、それほど高い収入ではありませんので、所得税が高いことはほとんどありません。

高年収の人は、おおよそ半分が税金として引かれることもあるでしょう。
税金は、公共事業など、生活に欠かせないサービスに使われるものですので、人のため、自分のためになっているお金です。
所得税に限らず、納税を怠ってはいけません。

初任給の翌月から天引きされるもの

初任給から雇用保険や所得税が天引きされることが一般的ですが、翌月からはさらに天引きされるものが増えていきます。
それは、厚生年金と健康保険です。
それぞれを具体的にみていきましょう。

年金を受給するための厚生年金保険料

給料から、厚生年金保険料が引かれます。
これは、将来的に年金をもらうために支払う保険料ですので、老後の生活に欠かせないといえるでしょう。
厚生年金保険料は、本人だけではなく、企業側も支払うことになります。
この年金は、金額が決まっている国民年金に上乗せされている仕組みですので、フィードバックが大きくなるでしょう。

将来、厚生年金がどれくらい支給されるのかは、加入している期間や支払額によって左右されます。
年金は、本人の意思とは関係なく加入するものですので、個人事業主であれば免除できる制度はあるものの、基本的には支払う必要があります。
会社に勤めていれば、自動的に天引きされますので、自ら手続きを行う必要はありません。

治療費の自己負担額を軽減する健康保険料

健康保険料は、ケガをしたときや病気になったとき、治療費などの負担を減らせるものです。
これも、給料から天引きされますが、保険に加入していない場合、治療費などに大きく影響がでます。
健康保険料も、厚生年金保険料と同様に、会社も負担してくれるものでありながら、個人で支払うよりも、保障される面で違いが出てくるでしょう。

所属している組織や職種などによって、保険の組合が異なり、給与の高低によって、支払う金額が異なります。
年金のように、後に一定の金額がもらえる保険料ではありませんが、治療費の負担だけではなく、出産に関する費用の支給などもありますので、メリットは少なくありません。

就職2年目からは住民税も天引きされる

就職して2年目から、さらに天引きされるものが住民税です。
住民税は、前年の所得から計算されるものですので、初任給の段階では確定しません。
住民税は、この名の通り、住んでいる場所に納める税金。
所得税のように納税額を決める計算式が同一ではなく、税率が自治体によって異なることもあります。
そのため、同じ給料の人でも、住んでいる場所が違えば、手取りの額が変わってくることも。
前年の所得から計算していることもあり、働いていない場合でも、高い住民税を納めなければならないこともあります。

住民税は、所得によって決定される「所得割」と、定額を支払う「均等割」で計算されています。
そして住民税は、「道府県民税」「市町村民税」という二つを組み合わせたもので、所得割の税率は、道府県民税は4%、市町村民税は6%、あわせて10%が基本です。
均等割は、5000円になっていますが、東京都に住んでいる人の場合、都民税にプラスして、特別区民税(23区)か、そうでなければ、市町村民税(23区以外)となります。

気になる公務員の初任給

一般企業の初任給を中心にご紹介してきましたが、人気のある公務員の初任給はどれくらいなのでしょうか。
国家公務員、地方公務員、それぞれの初任給をみていきましょう。

国家公務員の場合

平成28年度では、国家公務員の一般職は21万5,640円、総合職であれば、22万1,840円が初任給でした。
一般職は、総合的に業務をするのではなく、各省庁などで専門的な領域に携わることが多いです。
もちろん、所属している組織で、仕事内容が異なります。

大卒で民間企業に入社するよりは、高い初任給になるでしょう。
そして総合職は、将来的にトップに立てるようなポジションであり、いわゆる「キャリア官僚」と呼ばれている人材です。
組織の上に立つからこそ、マネジメント能力など高い能力が問われます。

【参考:http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/pdf/h28_kyuyo.pdf

地方公務員の場合

地方公務員の場合は、どれくらいの初任給なのでしょうか。
地方公務員と聞くと、市区役所の職員などを想起する人も多いですが、学校の先生や警察官、看護師、消防士なども公務員というポジションです。
だいたい初任給は、18万円から20万円程度になりますが、働いているエリアなどによって手当が左右されることもあり、もちろん職によってもバラバラです。
とはいえ、「公務員」という安定した職業だからこそ、常に人気があります。

初めての給料日

新社会人にとって、初めての給料日は、記念日といっても過言ではありません。
とはいえ、事前に確認していた給与よりも低い金額が振り込まれていたり、逆に手取りが多く感じられることもあります。

満額もらえるとは限らない

入社した4月の給料日に、事前に説明を受けていた給料のすべてをもらえるとは限りません。
例えば、15日締めの月末払いであれば、15日分までの金額しか支給されません。
もちろん会社によって締め日・支払日が異なりますが、5月に満額をもらえるパターンが多いです。

ほぼ全額が手取りとなる

天引きされるものがありますが、初任給であれば、税金や保険料をそれほど引かれることはなく、ほとんど手取りでもらうことができます。
翌月以降は、他の保険料などが天引きされることになり、2年目以降には住民税もありますので、さらに額面と手取りに差ができるでしょう。

社会人なら給料から引かれているものを覚えておこう

初任給の手取り額を知るためには、天引きされる保険料などについて見識を深めておく必要があります。
会社から支給される額によって、税金や保険料は異なります。
これからの自分の生活の計画を立てるためにも、給与明細をきちんと確認しておきましょう。