UKANO家計のクリニック

個人事業主が経費計上できるもの。確定申告で押さえるべきポイント

個人事業主が節税のために欠かせない経費申請

個人事業主となったら、所得税、住民税、事業税、消費税の4つの税金がかかってきます。
そして個人事業主が節税を考えるとしたら、それは所得税のことです。
所得税が安くなれば、必然的に住民税や事業税も安くなってくるのです。

節税のポイントは、「青色申告をすること」と「経費申請をすること」の2点。
なぜ経費申請をするかというと、所得税を計算する際に所得金額から所得控除を引いた額に税率などをかけて計算していくのですが、その所得金額は「収入ー経費」で計算するからです。

そのため経費額が多ければ多いほど所得税は安く抑えられます。
しかしこの経費、なにがどこまで経費として認められるのか個人事業主には不明な点も多いのではないでしょうか。
ポイントを押さえて、しっかりと経費申請をしていきましょう。

個人事業主が経費として計上できるもの

事業にかかる税金

個人事業主が経費として計上できるのは、個人事業税、固定資産税、不動産所得税、自動車税、登録免許税、印紙税、組合等の会費です。

それらは租税公課という勘定項目で区分します。
租税というのは、国税や地方税などの税金、公課というのは租税以外の公の金銭負担です。
消費税も計上できますが、区分は租税公課だったり未払消費税だったりするので、注意が必要。

また計上できるのは事業にかかる税金に限られます。
事業用にしか使っていない車ならば自動車税10万円をそのまま計上できますが、プライベートでも車を使っているなら「仕事で70%、プライベートで30%」というように計上も按分する必要があります。

事務所の家賃や光熱費

事務所を賃貸で借りた場合には、その家賃は経費として計上することができます。
では、賃貸で事務所を持っており、なおかつ自宅でも仕事をしているような場合はどのようになるのでしょうか。
たとえば飲食店を経営している個人事業主のような場合です。

その場合には店舗家賃を全額経費とし、自宅にある事務所は事務所スペースを按分し3割くらいを経費としていることが多いようです。
また水道光熱費なども同じように計上することができます。

事業に必要な交通費

事業に必要な交通費も経費計上できます。
取引先を訪問するために使用した電車代やバス代、タクシー代などがそれにあたります。

車を使用した際はなにを経費計上することができるでしょうか。
車での外出に伴う駐車場代、ガソリン代、高速道路などの有料道路代などがそれにあたります。

遠方への外出で宿泊した際の宿泊費なども計上することができますが、もちろんプライベートでの旅行などは含まれません。

一例ですが、ライターが遠方に住んでいる人にインタビューするために出張するのは必要なことですが、在宅やどこでもできるような仕事である翻訳家が遠方へ出たときの交通費を計上した場合、それが経費計上として認められないことが多いです。

事業で使用する通信費

インターネット代や、電話代などの事業で使用する通信費も計上することができます。
自宅を職場としている場合には、プライベートでも電話やインターネットを使用しているでしょう。
その場合には、事業使用割合60%、プライベート使用割合40%などと按分する必要があります。

それらの通信費の他にも、取引先や顧客に送った郵送物の切手代やはがき代、配送料なども通信費として計上することが可能です。
ただし間違えやすいのが、これらは通信費として計上するのではなく、荷造り運賃の区分で計上します。
間違えないようにしましょう。

取引先への接待交際費

取引相手にお中元やお歳暮を贈った場合、接待交際費として計上することができます。
来客があった際の、コーヒー代や食事代、手土産代も可能です。
取引先相手の慶弔費は計上することができますが、親族相手の慶弔費はできないため気をつけてください。

また接待交際費として計上できるのは、取引先や来客に費やした分だけではありません。
忘年会や新年会などで従業員を労った場合には、それらの経費も計上することができます。

事業で使用する消耗品

個人事業をしていて必ず必要になるのが、文房具などの筆記用具でしょう。
これら10万円未満、または法定耐用年数が1年未満の消耗品も経費計上の対象です。
文房具以外に対象となるものの例を挙げると、コピー用紙、インク、電球、ガソリンや灯油代、名刺、印鑑などがあります。

では10万円以上の消耗品とはどのようなものがあるのでしょうか。
たとえば、カメラマンが高額な10万円以上の一眼レフカメラを購入したとします。
これも事業で使用するものなので経費計上できるのですが、10万円を超えているので消耗品としてではなく減価償却費として毎年少しずつ経費計上することができます。

減価償却に関しては、償却期間が異なったり、少額減価償却資産特例などもあるので事前に確認しましょう。

仕事の資料として購入した本

仕事の資料として本や雑誌、新聞などを購入した場合も経費計上できます。
それが事業に関わる資料ならば、書籍の種類は問いません。
たとえ漫画であったとしても、仕事に必要な資料ならば経費となるのです。

また紙媒体だけではなく、有料のメルマガなどを購入している場合もあるでしょう。
紙媒体でなくても該当するので、新聞図書費として処理してください。

個人事業主が経費として計上できないもの

領収書のない支出

領収書は、お金の受け渡しを証明するものです。
そのために領収書のない支出はほとんどの場合経費計上できません。
ついうっかり領収書をもらい忘れてしまい、泣く泣く税金を多く払うこともあるでしょう。

しかし逆をいえば、お金の受け渡しを証明することができれば領収書でなくても、代わりに使用することもできるのです。

支払先、日付、支払金額、支払い内容が証明できるものとしては、レシート、クレジットカードの利用明細、出金伝票、取引先とのパーティーなどの招待状、ネット通販の確認メールなど使えそうなものがあれば保管しておきましょう。

事業主自身の給料

個人事業主には厳密にいう給料はありません。
会社員のように会社から支給されるわけではないからです。
そのために事業主自身の給料は経費計上できません。

では事業主自身のお給料のようなものはどうなっているのでしょうか。
これは事業主貸という勘定項目になります。
これは経費ではなく、貸借対照表の資産に分類されます。

事業主にかかる税金

経費計上できない個人事業主にかかる税金は、所得税と住民税です。
なぜならそれらは特に個人事業主だからかかってくる税金ではないからです。
給与所得を得ているサラリーマンもそれら二つの税金は払っているので、事業主のみ経費として計上できるのではおかしいことになってしまいます。

所得税と住民税は、売り上げを得るために直接関わった費用でもなければ、業務上の費用でもありません。
そのため経費として計上することはできないのです。

スーツや靴

個人事業主となれば、営業に出かけたり取引先と商談をするためにスーツや革靴などが必要になるでしょう。
しかし、それらはこれまでの慣例上なかなか経費として計上することができませんでした。
社名の入った作業着などは経費として認められています。

しかしスーツは給与所得を得ている多くのサラリーマンにとっても必要な衣服という過去の判例があり、多くの税理士がそれらを経費として計上するのを嫌がっていたのです。

しかしそれも徐々に変わりつつあります。
なぜなら法令がその後改定され、特定支出控除というサラリーマンのための控除では「新たに会社員が自費で購入したスーツで職務遂行上必要なもの」という項目が加わったためです。

税理士により賛否両論が分かれていますが、まだ風潮としてはスーツや靴は経費計上しにくいものとなっています。

作業場所が持ち家の場合の家賃形上

作業場所が持ち家の場合、事業主自身へ家賃支払いをする形で計上はできません。
しかし事業処分を経費計上する方法はあります。

自宅で働いている場合には、事業所として使用している床面積を事業使用割合として按分し、減価償却費として経費計上できるので、正確に計算をして経費にあげましょう。
またその際には土地代は含まれません。

出張先での個人的な飲食や観光費

出張に出かけた際に、せっかく遠出をしたのだからと観光をすることもあるでしょう。
しかしその際の個人的な飲食や観光費は経費とはなりません。
それらはプライベートなものであり、業務とは関係がないとされるからです。

もちろん、出張先で取引相手と喫茶店で落ち合ったりした場合には、そのコーヒー代などは接待交際費とすることができますし、往復でかかった交通費も経費で落とせます。
どこまでが業務に関わり、どこからがプライベートなのかしっかりと分けて考えましょう。

按分が必要な経費

自宅と事務所が兼用の場合の家賃

自宅と事務所が兼用の場合の家賃は、使用床面積で算出することが多いようです。

まずはプライベートな空間と事業所として使用している空間をしっかりと分けます。
そして事業所として使用している部屋の床面積を、事業使用割合とします。
事務所として使用している部屋の床面積が、全体の30%ならば家賃の30%を経費として計上することができるのです。

家賃10万円ならば3万円を地代家賃ですね。
残りの7万円は個人的な出費なので事業主貸という勘定項目に仕分けします。
経費計上できて良いようですが、マイナス面もあります。
マイホームの場合、事業使用割合としている部分に関しては、住宅ローン控除を受けられないので注意してください。

パソコンを使う場合の電気料金

電気代も按分することができます。
按分する方法は2つ。
1つは作業時間から計算する方法です。
たとえば1週間のうち30%が業務時間で、月に2万円の電気代ならば業務に使用している電気料金は6,000円です。

もう1つの方法は、コンセント数から計算する方法です。
自宅にあるコンセント数が10個でその内2個が業務用の場合には、電気代をその比率つまり20%で計算します。

ではパソコンがインターネットに接続している場合はどうでしょうか。
電気代同様に作業時間でも計算できますが、作業日数から計算したほうが簡単かもしれません。
たとえば1週間のうち5日間仕事に従事している場合、業務上使用しているインターネットの按分率は70%。
これを年間のインターネット代にかけて計算します。

小ガスや水道料金

ガスや水道料金の場合は、電気代のような計算方法では認められないことが多いです。
なぜならお風呂やキッチンでガスを。
トイレやお風呂、キッチン、洗濯などで水を使います。
つまり業務以外で使用することのほうが多いのです。

業務上使用する機会があるとすれば、来客のためにお茶を沸かすためのガスや水、トイレくらいでしょうか。
そのため、経費として認められないことさえあるのです。

ただし、たとえば業務内容が飲食店経営などであり店舗で使用している水道代やガス代ならば、業務に関わっているのでもちろん計上できます。
自分のケースにおいてガスや水道代を計上できるのか不明な場合は、税理士などその道のプロに聞いてみるとよいです。

スマホの通信料

業務でスマホや携帯を一切使用していないという場合は少ないでしょう。
現在では仕事をする上で不可欠な道具となっていますね。
では、スマホの通信料はどのように経費を計上したらよいのでしょうか。

基本的にプライベートと併用は不可だと考えておいたほうがよいでしょう。

経費を計上するのならば携帯電話やスマホは、事業用の電話番号と、プライベートでの電話番号を分けておくべきです。
業務上で使用していることが証明できるのならば、もちろん携帯電話やスマホの通信料はすべて経費で計上することができます。

もしも兼用にしてしまっている場合には、業務使用分を按分して計算してください。
税務署が認めてくれれば問題ありません。

営業車として使用する自家用車

営業車として使用する自家用車のガソリン代、任意保険、自動車税なども、経費計上することができます。
事業用に専用の車があれば計上は簡単ですが、個人事業主の場合はマイカーを仕事の際も使用している人が多いでしょう。

その場合には、外回りの営業や、出張など業務に関することで使用した場合のみ、按分して経費を計上することができます。
按分方法ですが、事業で使用した際の走行距離で計算する方法が正確ですが、平日は仕事、土日はプライベートのように週に使用している日数割合で計算することも可能です。

また同様に車検代も経費とすることができます。
しかし高額な修理代や部品の交換は経費として認められない可能性が高いので、常識の範囲内で行いましょう。
大切なのは、税務署に問い合わせをされたときに相手が納得できる説明ができるかどうかです。

確定申告で経費を申請する方法

税務署から確定申告書を取り寄せる

確定申告書を提出するために、まずは書類を手に入れなければなりません。
税務署、もしくは確定申告の書類を置いてある市役所等に赴き手に入れるのが一番確実です。
しかし小規模の役所には書類が用意されていないことがあるので確認が必要。

他にも国税庁のウェブサイトからPDFをダウンロードしたり、返送用封筒と希望内容を記載したメモを同封して税務署に送る方法もあり、近くで確定申告相談会をしているならば、そこでももらうこともできます。

例年確定申告は2月の中旬から3月中旬にかけて行うので、1月頃には書類が準備されていることが多いです。
直接取りに行く際には、確認してから出かけるとよいでしょう。

収支内訳書と確定申告書B経費を記入

白色申告の場合には、収支内訳書と確定申告書Bの書類を使用します。
白色申告は青色申告と比べて非常に簡易にできており、個人事業を始めたばかりの人や、節税するほどの所得がない人に向いています。

しかし青色申告にあるようなさまざまな特典はついていません。
また青色申告は事前申請が必要となるので、事前申請など何の準備もしていなければ基本的に白色申告となります。

白色申告をする事前準備として必要なことは、簡単に帳簿をつけておくこと。
そして領収書やレシート、請求書、銀行振り込みの控えといったものを取っておくことです。
以前は事業所得などが300万円未満の人は帳簿をつけなくてもよかったのですが、2014年より帳簿が義務づけされてしまいました。

青色申告とは異なり白色の場合は単式簿記です。
単式簿記とは家計簿程度のシンプルなものですので、白色申告が初めてという人でも、これまでつけてきた帳簿があれば作成できるでしょう。

所得税青色申告決算書と確定申告書Bに記入

青色申告の場合には、所得税青色申告決算書と確定申告書Bの書類を使用します。

青色申告のメリットはたくさんあります。
最高65万円までの青色申告特別控除が受けられ、赤字も3年間まで繰り越せます。
そして家族への給与も経費にできてしまうのです。

メリットが多い青色申告ですが、デメリットもあります。
まず、事前に申請を出していなければ確定申告を青色ですることができません。
また簿記が複式簿記となります。
これは借方と貸方の両面から取引を知ることができる方法で、単式簿記よりも難しく面倒です。
そのため提出書類も白色申告と比べて量が増えます。
また書類や領収書の一部は7年間保存する義務も。

所得が多い場合は、65万円控除を狙うことでかなり所得税を減らすことができます。
所得が多いようなら青色申告をするとよいでしょう。
事前に準備することは、帳簿を作成するために、総勘定元帳や仕訳帳を作成しておくことです。

他にその2つの書類の根拠として提示するための現金出納帳、預金出納帳、売掛帳などもできれば用意します。
最終的にはそれらの書類をもとに「損益決算書」と「賃借対照表」を作成し、確定申告で提出します。
個人事業主初心者には帳簿付けが難しいかもしれないので、会計ソフトを使用したほうがよいかもしれません。

レシートや領収書を添付

青色申告をするときに必要になるのが、レシートや領収書です。
帳簿に経費を記載するだけでは根拠がありません。
そのためレシートや領収書が必要となるのです。

情報として必要なのは、支払金額、取引した日付の記載、支払い目的、発行元の情報です。
それらが記載されていて、帳簿の経費の根拠となるものならば領収書でなくても問題ありません。
またプライベートの商品と同時に購入してしまった場合には、事業用品の項目にマーカーなどで色をつけたりして分かるようにしましょう。

注意したいのが、感熱紙を使用したレシートです。
日に焼けたり、日数の経過により感熱紙の文字は消えてきます。
読むことができなければ、そのレシートは使えませんので事前にコピーなどをとっておくほうが安心です。

また領収書等の資料は、税務調査の際に提出を求められる可能性があるので、7年間の保存が必要となります。
確定申告が終わった後も、捨てずに帳簿類や決算書と共に保管しておきましょう。

2月16日~3月15日の間に税務署に提出

例年の確定申告は2月16日から3月15日の間です。
この間に前年1年間の分の会計資料を税務署に提出。
提出方法には3通りあります。

1つは直接管轄の税務署に赴き、確定申告の書類を提出することです。
事前に作成していくことが基本ですが、税務署の人に相談しながら確定申告書類を作成することもできます。
しかし、確定申告の時期は大変混雑するので、相当の待ち時間を覚悟したほうがよいでしょう。
事前に作成していくことをおすすめします。

2つ目は税務署あてに、確定申告の書類を郵送することです。
申請日は消印の日付となります。
つまり3月15日が提出期限の場合、15日中に窓口で提出し消印を押してもらっていれば間に合うということです。

3つ目はe-tax(イータックス)です。
自宅からインターネットを通して確定申告をすることができます。
ただしe-taxを行うには、事前申請が必要です。
紙の資料を提出する必要がないうえに、e-tax対応の個人事業用会計ソフトを使用していれば、データをそのまま流用することもできます。

経費を計上する時のポイント

経費の適正な割合は5割程度と心得る

経費はどのくらいが適正なのか、不安に思う人もいるかもしれません。
しかし、適正数値というものはありません。
昔は概算経費率というものがあり、業種ごとにその割合をかけて計算していたこともありましたが、現在では廃止されています。

大切なのは、業務にかかわる経費であり、正当かどうかです。
経費が正しければ、割合が高くても認められます。

しかし経費の割合が高い場合には、税務署の調査が入りやすくなります。
経費が高いからといって、わざと低く見積もる必要はありませんが、経費の割合が5割程度を超えてくるようならば、按分などの計算に誤りがないか等再確認をしてみましょう。

領収書やレシートは保管しておく

確定申告をするのならば、必ず領収書やレシートは保管しておく必要があります。
それらは確定申告書類の数字の根拠となるからです。
根拠のない数字は、経費として認められません。

また請求書や領収書、レシートには保管義務もあります。
法人の場合には7年間、個人事業主の場合、青色申告なら7年間(注文書・納品書などは5年間)、白色申告なら5年間です。

税務署の調査が入ったときなどに、数字の証拠となるものを提出できないとトラブルが発生してしまうので、必ず保管期間は守るようにしましょう。
またそれだけの期間を保管しなければならないので、感熱紙を使用したレシートなどはコピーを取るように心掛けたほうがよいでしょう。

領収書が貰えない場合はメモを残す

御祝儀や、慶弔見舞金など領収書がもらえないけれども経費として落とせるものがあります。
それらはしっかりとメモを残したり、結婚式の招待状を保管するようにしましょう。
他にもご祝儀袋や金額のわかる面をコピーしておく方法もあります。
領収書と同じく、日付や金額、送り先などをメモしておいてください。

またバスなど領収書の出ない交通費が発生する場合もあるでしょう。
その場合には出金伝票にて、取引の日付、金額、相手先、取引内容を記載します。
あくまで自らが記載したものなので、根拠は弱くなります。
証拠となりそうなものが手元にあるのなら、そちらもコピーしておいたほうが確実です。

10万円以上の備品は減価償却が必要

10万円以上の備品は、消耗品として一括計上することはできません。
減価償却が必要となります。
高額な備品というと車やパソコンがあげられるでしょう。

たとえばパソコンで考えてみましょう。
9万円でパソコンを購入した場合、これは10万円以下なので消耗品として計上できます。
しかし同時にマウスやその他パソコンに関する備品を購入して10万円を超えた場合には、パソコン一式として考えられ減価償却の対象となります。

減価償却の方法には3通りあります。
1つは一括償却資産とすることです。
10万円~20万円未満のものに限りますが、3年間で均等償却する方法です。
2つ目は青色申告のみとなりますが、少額減価償却資産の特例です。
そして3つ目は通常の減価償却資産とする方法です。

個人事業主は経費の上限がない

個人事業主の場合は、経費の上限について定義はありません。
毎月300万円の利益を上げている会社が、従業員の給料に100万円払っているとして、それを多すぎるとみるか妥当とみるかは社長の判断でしょう。
事業を経営していく上で必要な経費だと判断するのならば、税務署にその正当性を伝えればよい話なのです。

しかしこれは個人事業主の場合のみです。
個人か法人かで項目により、経費の上限は変わってきます。
たとえばやっかいな接待交際費をみてみると、個人事業主の場合は、経費の上限はありませんが、中小企業の場合には1年間に800万円以下とされています。
さらに大企業の場合には、接待交際費は経費として計上できません。

経費計上に上限がないのは、個人事業主の特権ともいえるでしょう。

会計管理にはソフトを使う

所得がそれほどない場合、計理や税理士を雇って確定申告をすることは難しいでしょう。
しかし会計ソフトを使用すれば、自分の力だけで帳簿付けから確定申告までをこなすことができます。

会計ソフトにはインストール型と、クラウド型があります。
インストール型はパッケージソフトを購入するタイプですが、毎年アップグレードする必要があります。
クラウド型は月額や年額制です。

ソフトに売上や経費を入力していくだけで、帳簿や確定申告の書類を作成できるので、慣れれば難しくはありません。
確定申告の書類は税務署指定の用紙をしなくてもよいので、ソフトから作成できる帳簿等を印刷するだけで、確定申告の書類が準備でき大変便利です。

青色申告で控除のメリットを受ける

青色申告は、白色申告よりも帳簿作成が複雑で面倒というデメリットはありますが、それ以上のメリットがあります。
ある程度の所得があるのならば、節税のために青色申告をするとよいでしょう。

青色申告でのメリットは、その控除額です。
簡易簿記で行った場合には10万円の控除、複式簿記で行った場合には65万円の控除をうけることができます。

また純損失の繰越控除という、赤字が3年繰り越せる控除もあります。
損失を全額繰り越せるので、翌年以降の節税をすることができるのです。

また控除ではないですが、個人事業に従事している家族の給与を、全額経費にすることができます。
これは白色申告にはないメリットです。

経費は忘れずに計上しよう

個人事業主の場合、節税対策も自分自身で行わなければなりません。
そのためには節税するために何ができるのか、知識が必要です。

知らないと、税金を多く払いすぎてしまいます。
確定申告の際に経費として計上できるものを知り、領収書などを忘れずに保管するようにしましょう。