UKANO家計のクリニック

医療費控除の確定申告の書き方や手続きを知り還付金を受け取ろう

医療費控除の確定申告の手続き法をレクチャー

会社から給与をもらっているなら、年末調整を行っているため確定申告の必要がありません。
ただ、医療費控除を受ける場合は、個人で確定申告が必要です。
確定申告をいちいちするのは面倒と感じるかもしれませんが、確定申告書の記入は順序だてて行うと分かりやすいです。

確定申告の作成を国税庁のホームページの「確定申告作成コーナー」で行うことができるので、順番に打ち込んでいくと仕上がります。
医療費控除はどのように申告すればよいのか、申告書の書き方はどうすればいいのか、申告書はどこに出せばいいのかなどの疑問について解説していきます。

医療費控除について

医療費が10万円以上になったので医療費控除を受けたい、申請したいと思っていても、詳しい内容が分からないと難しく感じてしまうもの。
まず、医療費控除とは何かということからみてみましょう。

医療費控除で節約になる

医療費をたくさん支払った場合は、医療費控除の申請を確定申告のときにすることで、支払った医療費の一部が還付され、所得税や住民税が安くなります。
そのため、医療費控除をすることで、毎月の手取り収入が増えて節約になります。

次年度の税金が安くなり、払いすぎの税金も還付金として戻ってくるので、医療費控除の確定申告を考えてみるといいでしょう。

交通費は含まれる場合がある

医療費控除をするときは、入院や通院のときの公共の交通機関の交通費は医療費控除に入れられます。
自分の車で行った場合のガソリン代や駐車料金は、医療費控除の対象にはなりません。
タクシーなどを利用した場合は、ケースバイケース。
入れられる場合と入れられない場合があるので、注意しましょう。

例えば、陣痛が始まって一人でタクシーで病院へ行かなくてはいけないときや、高齢者で公共の乗り物に乗ることが難しいとき、骨折などのけがでタクシーでないといけない場合、深夜でタクシー以外の移動手段がないときなどは医療費控除に入れられます。

一方、公共機関を利用できるにも関わらず、面倒なためタクシーを利用した場合や、歩けるけれど荷物が多いためタクシーを利用したなどの場合は医療費控除に入れられません。

出産に関する費用は医療費控除の対象

出産一時金は医療費控除の対象になります。
特に出産した年は控除対象になる可能性が高く、妊娠がわかったときから妊婦検診、通院、不妊治療、人工授精の費用、分娩費用、助産師の介助費用、入院中の食費、産後の検診費用、通院の際に公共の交通機関を利用した交通費などは医療費控除の対象です。

ただし、健康保険や、国民健康保険の被保険者や配偶者が出産したとき、出産育児一時金が一人最大42万円支給されるので、それは医療費の合計額から差し引かなくてはいけません。
妊娠と判明したときの妊娠検査薬の費用や、インフルエンザの予防接種、里帰りの帰省費用、自家用車のガソリン代、駐車料金、入院中の差額ベッド代などは医療費控除の対象にはなりません。

医療費控除の手順

医療費控除を受けるためには、必要書類と領収書が必要です。
平成29年度から確定申告の際に領収書の添付は必要がなくなり、かわりに医療費通知書(医療費のお知らせ)の添付で、医療費の明細書に転記できることになりました。
領収書は5年間の保管が義務付けられています。

領収書の添付は必要ないですが、確認が必要なので残しておきましょう。
医療費の通知書は、健康保険組合などから配られている、使った医療費等を通知している書類のことです。
医療費控除の手順としては次の順に行います。

セルフメディケーション税制

平成29年1月1日から新しい税制として医療費控除の特例として所得控除が受けられるセルフメディケーション税制が始まりました。
この制度は、1月1日から12月31日に対象のOTC医薬品を12,000円以上購入した場合にセルフメディケーション税制として申告することができます。

スイッチOTC医薬品のパッケージを見ると、セルフメディケーション税制対象のOTC医薬品と明記されています。
セルフメディケーション税制を選択する場合は医療費控除をすることができません。

医療費控除の申告のポイント

医療費控除は平成29年よりセルフメディケーション税制だけでなく、医療費控除の申請の方法も変更がありました。
新しい申請方法で必要な書類や申請書類の書き方について順を追ってみることにしましょう。

平成29年に変更された

平成29年より申告方法の変更された点は、平成28年までは領収書の添付が必要でしたが、領収書の添付が必要なくなり、医療費の明細書を添付しなければいけません。
医療保険から配られた医療費の通知書を添付するなら、医療費通知書の合計額を医療費明細書にまとめて記載するので、細かく記載する必要がなくなり、かなり簡略化されました。

医療費通知書に記載がない交通費などは領収書を見て記入します。
医療費の通知書には11、12月分は記載されていないことが多いので、領収書を確認して記載されていないものは、別途、医療費の明細書に記入します。

平成31年までは経過措置として、今までの領収書を添付し、医療費の明細書に記入する方法でもいいことになっていますが、新しい方法での再提出を求められる場合もあります。

必要な書類がある

確定申告に必要な書類は次の書類です。

直接提出するときはマイナンバーの通知書や本人を証明する書類の提示、またはマイナンバーカードの提示が求められます。
郵送の場合は、それらの書類のコピーを添付書類に貼付します。

収入金額等の記入

給与所得者の確定申告書Aの記載方法で説明します。
源泉徴収表の支払金額の額を収入金額等の給与の部分に記入します。
例えば、源泉徴収票の支払金額が580万円の人は確定申告書Aの給与の所に「5,800,000」と記入します。

所得金額の記入

所得金額は、源泉徴収票の給与所得控除後の金額を所得金額の給与「1」の欄と合計「5」の欄に記入します。
例えば、源泉徴収票の給与所得控除後の金額が420万円なら、給与「1」と合計「5」に4,200,000といれます。
所得控除から差し引かれる金額では、源泉徴収票は年末調整で調整されているので、「16」には源泉徴収票の「所得控除の額の合計額」を転記します。

そして、「18」の欄には医療費控除の額を転記し、「16」と「18」の合計額を「20」に記入します。

確定申告書A第2表の書き方忘れ注意

確定申告書にはA表の第1表と第2表があります。
第2表は見落としがちなので忘れずに記入が必要です。
第2表の左上に住所と氏名を記載し、その下の所得の内訳には、所得の種類と給与などの支払者の氏名、収入金額、所得税及び所得税の源泉徴収額を記入します。

税金についての計算

税金の計算は、所得金額から差し引かれる金額の合計を引きます。
収入が580万円で所得が420万円、医療費控除額を5万円とします。
すると、580万円 ー 425万円 = 155万円なので、税金の計算の「21」の欄に1,550,000と書きます。

これを所得税の税率に当てはめると、税額は10%になり、1,550,000円×10%ー97,500円=57,500円です。
57,500円を「32」に書きます。
平成25年度から東日本大震災の復興の財源を確保するために復興特別所得税が2.1%課されるので、57,500円×2.1%=1207.5円で、1208円が「35」の復興特別所得税になります。

「32」と「35」を合計した金額の58,708円を「36」に書き入れます。
源泉徴収票の源泉徴収額が85,000円とします。
すると、還付される額は58,708円ー85,000円=ー26,292円です。
その金額を「40」に書き入れます。
つまり、26,292円が還付金として戻ってきます。

【参照URL:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

所得の内訳を記入

第2表の書き方は、所得の種類にはサラリーマンは給与と記入し、支払者の氏名は会社名を記入します。
収入金額は5,800,000円、所得税及び所得税の源泉徴収額は、源泉徴収票の源泉徴収額85,000円を記入します。
右下の⑯医療費控除の支払医療費等のところに医療費控除の額50,000円と保険金などで補填される金額を記入します。

住民税に関する項目の記入

住民税に関する項目は、16歳未満の扶養している家族がいる場合のみ記入します。
扶養親族の氏名、続柄、生年月日、別居の場合の住所、扶養者のマイナンバーを記入します。
現在は16歳未満の扶養控除がなくなっています。

別居の控除対象配偶者・控除対象扶養親族がいる場合は、住所と氏名を記入します。
別居している配偶者や扶養親族が給与所得者で年末調整を受けているなら、第1表の「12」~「14」を省略してマイナンバーのみを記入します。

医療費控除の更正の書き方

医療費控除の還付金額が間違っていた場合、更正の必要があるケースを考えて検討します。
申告した税額が実際よりも多い場合や医療費控除の還付額が実際より少ない場合などが更正の請求に該当します。

更正の請求で必要な書類

更正の請求で必要な書類は次の書類です。

「所得税及び復興特別所得税の更正の請求書」で、名前、住所、届出日などの基本情報や更正で請求する内容など申告書の記載ミスがないようチェックを忘れずにしましょう。
提出するときは、本人確認の書類の提示が写しが必要です。

例えば、申告内容が「医療費の間違いが見つかった」として更正を請求する理由には「平成29年5月6日に通院した歯科の治療費が記載漏れで、過少申告をしていた」とし、平成29年5月2日に歯科医院へ通院した領収書を添付します。

「請求額の計算書」に請求の欄には確定申告の申請書を元に記入していきます。
申告し又は処分の通知を受けた額には確定申告で記載した金額を記入して、請求額には正しい金額を書き入れます。
還付される税金の受取場所の口座の名義人と申告者名は同一でなくてはなりません。
但し、管理人を別途指定している場合を除きます。

【参照URL:https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28kosei.pdf
【参照URL:https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki02/pdf/003.pdf

医療費の更正の請求は5年

医療費の更正の請求は、法廷申告期限から5年です。
更正内容により請求期限が決められています。
例えば、医療費の更正は5年ですが、法廷申告期限とは画定申告の締め切り日でその年の3月15日から開始されます。
提出期限は、5年後の3月15日までで、3月15日が祝日や土、日曜日なら休みあけが提出期限です。

年末調整を受けている人の医療費控除の請求は、次の年の1月1日から12月31日が提出期間なので、更正の請求の提出期限は5年後の12月31日が提出期限です。

更正の医療費控除での税金の減額

医療費控除の更正請求をすると、税金が減額され、指定口座に所得税が減額された還付金額が振り込まれ、翌年の住民税が安くなります。
還付額や減額される額の計算式は次のようになります。

医療費控除額=(1年間に支払った医療費等ー保険金等で補填された額)-10万円(所得金額が200万円以下の人は所得の5%)
所得税の還付額=医療費控除額×所得税率
住民税の減額=医療費控除×10%

1医療費の更生の流れ

医療費の更正の流れは次のような手順で行います。

申告日から3カ月ほど後、または更正の提出後1カ月ほどしてから差額が振り込まれます。

控除対象外の医療費がある

医療費控除は、かなり幅広く行われていますが、医療費控除の対象にならない医療費があります。
医療費控除の対象となるものは、目的が治療のために使われたもの、医師の指示によるもの、医師や看護士、針きゅう師マッサージ師、柔道整復師による施術、助産師の分娩介助などで、美容目的や健康保持、増進目的のものは対象にはなりません。

花粉などの予防注射

健康の予防のために行われることは医療費対象外です。
インフルエンザなどの予防接種や花粉などの予防注射も医療費控除対象外です。
但し、同居家族にB型肝炎にかかっている人がいて本人に感染する危険性が高い場合は、医師による治療の一環としてみなされるため医療費控除の対象になります。

この場合は、B型肝炎の家族が引き続き治療を行っているという医師の診断書と患者の親族に対するB型肝炎ワクチンの接種費用の領収書が必要です。

自分の意思で行く人間ドック

自分の意志で行う人間ドッグや自費での健康診断は基本的に医療費控除の対象外です。
但し、人間ドッグや健康診断で要精密検査や要治療などの結果がでて、その後、再検査を行い、悪い場所が見つかり、継続して治療をした場合に、人間ドッグや健康診断の費用や再検査の費用も医療費控除の対象となります。

例えば、人間ドッグが40,000円かかったとします。
再検査をすると胃潰瘍が見つかり、潰瘍がよくなるまで、継続して治療をして完治しました。
その費用が全部で60,000円ほどかかりました。
人間ドッグの費用と再検査代、治療費の60,000円がすべて医療費控除の対象です。

また、特定健康診査の結果が高血圧症や脂質異常症、糖尿病と同等とみなされた場合、特定保険指導(メタボ検診)にかかる治療費は医療費控除の対象となります。

美容に関わるもの

美容整形や歯科形成、ほくろの除去など美容目的で行われた治療に関しては医療費控除の対象外です。
他に歯のホワイトニングや歯石除去費用は治療ではないので医療費控除の対象には含まれません。

但し、子供の歯並びが悪く、歯の成長を阻害すると医師が判断して行う歯科矯正の費用や入れ歯の費用、インプラントやセラミック、金やポーセレンなどの治療費は医療費控除の対象です。

確定申告で還付金の受給を忘れずに

医療費控除は年末調整をしている人でも個人で確定申告をしなければなりません。
平成29年から医療費控除の方法が一部変更になり、今までより簡略化されました。
セルフエディケーション税制も始まり、12,000円以上の対象のOTC医薬品を治療として購入した場合は申告することができます。

ただ、医療費控除とセルフエディケーション税制はどちらかしか申請できないので、どちらで申告した方がいいかチェックして控除額が大きい方で申告するといいでしょう。
医療費控除の確定申告をすると還付金が振り込まれ税金が減額されるので、医療費控除を忘れないようにしましょう。