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【秘書検定二級】就職や仕事で役立つ資格 社会人の常識を学ぼう

秘書検定二級は社会の常識を学べる

秘書という名称の響きから、多くの人が「礼儀正しい」「社長を補佐する重要な仕事」といったイメージがあり、秘書という仕事が非常に多いというわけではないことを考えると、その難しさがわかります。

ハイレベルなマナーと姿勢、徹底して上司をサポートするという献身的な仕事内容。
それらを一度には無理でも、少しずつ順を追って身につけられるとしたら、将来のために役立つと思いませんか。
そんな社会の常識を学べるのが「秘書検定」で、その基礎編ともいうべき資格が秘書検定二級です。

秘書検定二級はどんな資格なのか

秘書検定資格の目的はまさに「人材育成」です。
中でも二級では一般的に通じる秘書業務を行える知識と技能が求められ、社会人として必要とされる必要最低限のレベルともいえます。
そのため高校生の受験者が多く、次に大学生など社会経験の少ない人向けの、社会人としての常識を学びます。

内容が基礎的だとはいえ、逆にいえば「これくらいは知っていてほしい、できてほしい」という社会の最低限の要請だと考えると、合格するだけでなくその後にきちんと実践できる人物でいられるかどうか、むしろ合格後の社会人としての生き方のスタートであるとも考えられます。

試験内容からわかる社会が求める人物像

秘書検定二級の資格を持っていること自体が、それを学ぶ必要があるという考え方、学んで合格した努力、そのスキルが身についているという合格の証です。
それだけ学ぼうという気持ちと、それが必要であるという危機感があることは、企業・面接官にとっても採用を前向きさをアピールできるポイントになります。

社会に出たことのない人にとっては少し苦労する難易度かもしれませんが、社会に出た人なら誰でも知っているマナーだと考えると高すぎるということはありません。
しっかりと意味をも理解しながら身につけていくとよいでしょう。

学習量に比べて強いインパクトのある資格

秘書検定二級の合格率は平均すると約50%ほどで、全く勉強せずに合格することはかなり困難ですが、ポイントを押さえて勉強さえすれば高確率で合格することができます。

秘書検定で問われるのは、上司のサポートを的確に行うための感覚や判断力、上司が留守中の対応など秘書特有の仕事についての知識、経済用語などの一般知識、ビジネスマナーの一般常識や、ファイリングや文書・事務用品・オフィス環境についての知識です。
どれも時代や環境が変わっても大きく変わるものではなく、一度身につけると将来役立つものばかりです。

また性質上問題の難しさには限界があり、実際の試験で出題されるのは、一定のやり方や作法を覚えるのが中心です。
そのため合格レベルに必要な学習量は他の資格に比べると多い方ではありません。
しかしそういった必要な学習量に比べ面接官に対するインパクトは大きく、秘書検定二級を受験しようという前向きさと勤勉さ、合格しているという努力とその的確さが評価されるのです。

実用的で仕事に役立つ

秘書検定二級を受験する人は学生が8割を占めていますが、社会に出て仕事をする上で、適切に秘書検定で学べる一般常識やマナーなどの基礎を定期的に再確認するために受験する人もいます。
ビジネスホテルに勤務していたり、事務をしながらも秘書のようなマナーが求められるポジションなど秘書検定二級の知識やスキルが役立つ場面は社会にたくさんあります。
さまざまな場面で対応できる自分でいることは、仕事に関係なく大きな自信になるでしょう。

秘書検定二級試験の概要

秘書検定二級を受験する際、具体的にどのような形式で知識や判断力が試されるのでしょうか。
試験の形式など秘書検定二級試験の概要を見てみましょう。

第114回検定の受験者数は2万2千名

秘書検定二級は、受験資格に制限がなく誰でも受験できます。
就活を控えた学生や現役秘書、ビジネスマナーを身に付けたい人、自分に自信を持ちたい人などさまざまな立場・目的で受験されます。

第114回検定の受験者数は約2万2千名。
選択式の筆記試験(ペーパーテスト)のみとなっており、面接試験はありません。
試験時間は130分で、マークシート式の選択問題が31問、記述問題が4問の計35問が出題されます。

受験料は4,100円で、全国90カ所を超える試験会場が設けられます。
受験はビジネス系検定受付特約書店で申し込みでき、受け取る書類のうち一枚を締め切り日までに専用封筒に入れて投函すれば手続きは完了です。

秘書検定で問われる5領域

秘書検定で出題される問題は、大きく5つのジャンルに分かれます。
まず上司の仕事を理解し気配りと臨機応変な対応能力を問う必要とされる資質、上司が仕事の専念できるようどのように補佐するかといったような秘書特有の仕事のやり方・知識を問う職務知識、ビジネスの場で使われる経済用語・時事用語など社会常識的な知識を問う一般知識が理論的な内容です。

一方、より実践的な実技についても出題されます。
対人関係の基本となる言葉遣いや来客応対・交際業務・慶弔のしきたりなどのマナー・接遇、職場で必要な文書作成やファイリング・スケジュール管理・オフィスの環境整備など常識的ですが現場に即した技能も問われます。

どれも専門の学校では詳しく学べないものも多く、特に実技編では具体的なシチュエーションでの判断力を問われます。
社会経験の少ない人にとっては初めて知ることも多いかもしれませんが、それこそが社会の要請している知識・能力であり、身に付けていることで大きなアドバンテージになるのです。

最近の試験問題例

例えば、三級のマナー・接遇領域でよく出題される祝儀袋の問題では、5つの祝儀袋と上書きの組み合わせが示され、不適当なものを選ぶといったものが出題されます。
社会人なら一度はぶつかったことのある問題ですが、すでに示されたものの中から選ぶ比較的簡単な問題です。

それが二級になると「上司の指示で、70歳を迎えた上司の恩師への祝いにどちらの祝儀袋にし、上書きをどう書くか」という選択・筆記問題に変わります。
選択部分はともかく、筆記問題はきちんと学んでいなければ迷うか全くわからないかのどちらかです。
二級になると暗記というよりその理由をきちんと理解し、適切に判断できるかどうかが問われるようになるのです。

秘書検定二級は合格しやすいか

秘書検定には三級・二級の他、準一級と最高位の一級があります。
平成28年度の受験者数の中では、二級は全体の58%に達し、最も多くなっています。
それは合格しやすいからなのでしょうか。

秘書検定二級の難易度と合格率

二級の合格率は平均して50%をやや超える程度です。
簿記検定やTOEICなどに比べると難易度は高くなく、合格しやすいともいえます。
しかし、問題で問われるのは学校で詳しく習ってきたものとはかなり違い、誰もが知っているわけではないものが多く、マナー・接遇や慶弔しきたりなど誤って覚えていたり、部分的にしか知らないことばかりで、それらをきちんと学んだという人はほんの一握りです。

勉強すると、誤って覚えていたことや初めて聞くことも多くあるはずです。
ということは勉強していなければ答えられない、間違うことが多いということ。
きちんと勉強していればそう難しくはありませんが、勉強不足であれば少しひねった問題には対応できないかもしれません。
問題そのものの難易度は高くはないが、きちんと勉強していなければ合格は難しい資格だといえそうです。

試験内容がより実用的に

秘書検定三級の受験者数は半数弱を高校生が占めますが、二級になると大学生が半数弱を占めるようになります。
それは就職を目前に控え、具体的にマナー・接遇など秘書検定で学ぶスキルが必要になると同時に、社会においてより実用的な場面を想定した問題が増えるからです。

大学生の中にはアルバイトを経験するなど社会通念を体感している人も多いためやや有利ともいえますが、それが誤った常識である可能性もあります。
身に付けたスキルが一般的に正しいものなのかを確かめるためにも、秘書検定二級を勉強するとよいでしょう。

合格するための勉強法と勉強時間

それでは今まで全く勉強したことのない人が秘書検定二級合格を目指して勉強しようとすると、どれくらいの時間が必要になるのでしょうか。
またそれを効果的に身につけるためにはどんな勉強法があるのでしょうか。

余裕のある勉強期間は6週間

難易度が高い方ではないにしても、学生なら学校で他の勉強もアルバイトもサークル活動もあるでしょうし、社会人なら仕事と両立させながら勉強するのは大変です。

秘書検定は5つの分野に分かれていますから、各分野を1週間かけて勉強して5週間、仕上げに過去問題と模擬テストに1週間と考えると合計で6週間かかります。
平日なら1日10分から20分程度、土日は1時間から2時間程度勉強すれば、平日のうちにテキストは読み終え、土日はその復習に充てることができます。

時間がない場合は、1分野1週間を5日間に短縮すれば一ヶ月での習得も可能ですが、個人差もあり状況によって難しい時もあるかもしれません。
せっかく受験するのですから、できる限り余裕を持って確実に合格できるだけ勉強できるスケジュールで臨みたいものです。
およそこの6週間を目安にして微調整し、最も効果的な勉強法を実践しましょう。

過去問を徹底的に繰り返し解く

受験が近づくにつれて考えなくてはならないのが試験時間が2時間であるということです。
細かい勉強時間ばかりを積み重ねてしまうと本番の途中で集中力が途切れてしまうかもしれません。
仕上げの過去問題・模擬試験は、本番さながら2時間で取り組みましょう。

また過去問題や模擬試験を繰り返すと、よく出る問題や似た問題に出くわすことがあります。
それは過去の出題が多いということで、本番に出題される可能性が高いものです。
しかも何度も当たっていますからそれだけ頭に入りやすくなり、忘れることも少ないはずです。

過去問題や模擬試験で迷ったり疑問に感じたら、テキストに戻ってもう一度学びなおせばより強く身につけることができます。
一見回り道に見えますが、一度勉強しただけで十分ではなかった弱点ですから、本番の前にわかってよかったと考え、しっかり勉強し直すようにしましょう。

秘書検定二級のおすすめ参考書

秘書検定二級は、独学でもテキストと問題集の2冊に徹底的に取り組めば合格は十分可能です。
まずテキストで内容を分野別にチェックし、それが身についているかを問題集でテストします。
独学の場合最も頼りになるのが過去問題・模擬試験といった問題に当たった経験です。
同じ問題でも一定の時間を空けて何度も当たれば問題内容だけでなく形式や言い回しに慣れ、よりリラックスして当たれるようになります。

他の資格と同じように秘書検定もたくさんの出版元からテキストが発売されていますが、その中で非常に信頼性が高く読みやすいのは公式テキスト「秘書検定集中講義2級」です。

秘書検定の実施元である公益財団法人実務技能検定協会が編集し、二級の5つの分野を29のレッスンに分け、1レッスンごとに完結しているため取り組みやすい分野から勉強を始めることができ、レッスンごとの練習問題もあり巻末に模擬試験が2回分ついているのもうれしいポイントです。
問題集も「秘書検定2級実問題集」が各年度ごとに発売されています。
各設問ごとに難易度のランクがつき復習しやすいのが特徴です。

オンライン学習サービスやアプリを利用する

さらに合格の角度を上げたいなら、資格オンライン学習サービスを利用することもできます。
内容によって暗記項目なら短時間のオンライン講義でスキマ時間をうまく使い、理解項目なら考え方を養うため時間をかけてじっくり学べます。
中には無料体験できるものもありますから、積極的に試してみましょう。

また、通勤・通学時間や昼休みを使って勉強できるアプリもあります。
それぞれ特徴がありますが、一問一答式なら時間を取らずに区切りやすく繰り返し当たることができます。
一つのテキストに限らず幅広い出題に慣れることで、より柔軟に対応できる余裕が身につくでしょう。

社会人として立派な常識を身につける

義務教育から高校・大学を通じて、多くの人と接することが難しい現在、接客業であっても立派なマナー・接遇のスキルや社会常識を身に付け、さらに上司をいかにサポートするかを学ぶチャンスはほとんどありません。
だからこそ秘書検定二級で学ぶことが重視されているのであり、それを実践するための基礎となる知識を学ぶ機会となっているのです。

秘書検定二級の資格を取得しても、むしろそれからが本番です。
社会人として社会に役立つ立派な常識・マナーを身につけるために、しっかり勉強しましょう。