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育児休暇の期間がよくわからない
妊娠したときに自分が働いている場合は育児休暇のことが気になりますよね。
どのくらいの期間が取れるのかいまいち把握できていない人は多いようです。
実際に自分の会社の風習などで取りづらい雰囲気のため、そのまま退職してしまった人は大勢います。
そこでしっかりと育児休暇についての知識を学び、会社と相談し上手に育児休暇が取れるようにしましょう。
また、海外と日本の違いなどはあるのでしょうか。
育児休暇を取得できる条件
育児休業の期間というのは、原則は「1年間」です。
ただ、条件を満たすと1歳6ヶ月に延長されます。
その後、さらに条件を満たすと、2歳まで延長することができるのです。
初めからまとめて2年取得できるわけではないので注意してください。
同じ会社で1年以上働いている
育児休暇取得には「同じ会社で引き続き雇用された期間が1年以上」必要です。
また、派遣でも同じことがいえます。
派遣先が変わったとしても派遣元が同じで1年以上あれば育児休暇がもらえるでしょう。
しかし、期間雇用の場合は契約内容によっては取得できないケースも。
お子様が誕生した日から1歳6カ月の前日までに労働契約期間が満了していて、契約の更新がされないということが明確であれば育児休暇の取得条件には当てはまらなくなります。
1週間に3日以上勤務している
育児休暇取得には「所定労働日数が3日以上」必要とされています。
正社員も契約社員も同じ条件ですので、派遣だからといってもらえないことはないのです。
パートなどの人は会社の立場が弱いかもしれませんが妊娠して働けなくなるからといって、無理やり辞めさせたりすると労働法違反になるのです。
派遣の人でも条件に合っていれば育児休暇がもらえるため、諦めないようにしましょう。
育児休暇の期間はいつからいつまでなのか
育休期間はさまざまなシーンによって変わってきますので、よく理解した上で学びましょう。
うまく育児休暇を取れるように工夫することができます。
基本は出産後の8週後から1歳になる前日まで
「産後休業」とは出産したあとに必ず取らなければいけない休暇です。
出産した翌日から数えて8週間のことをいいます。
女性の育児休暇と男性の期間は少し変わってきますが、基本的に女性の場合育児休暇の期間は産後休業が終わった翌日から、1歳になる前日までの期間を指します。
ただし産後休業も育休申請時点で、1年以上勤めていることが条件となります。
「パパママ育休プラス」で1歳2カ月まで延長可能
ママパパともに育児休暇の取得が必要ですが、その場合は男女ともに上限1年間取れることになります。
この特例を生かして子育てをずらして行うことで、子供が1歳2カ月になるまでに子育てが切れずに行えるのです。
通常連続して育休は取らなければいけませんが、育休プラスの場合は例えば男性が出産後に育休を一度取り、女性が育休が終わったあとに2カ月間また育休を取ることができるのです。
事情次第では1歳6カ月までの延長もできる
保育園に申し込みしているのに入所ができない場合や、配偶者が死亡してしまってやむを得ない事情で子供の養育が困難になった場合は、1歳6カ月まで最大延長できる場合があります。
最近ではさらに許可申請者に対して保育園の数が圧倒的に少なく、なかなか入園できないのが現実です。
2017年に最長2年まで延長が可能になった
育児・介護休業法の成立時期は1995年ですが、2017年10月に制度改正されましたので、内容が少し変わっていることが多いです。
子供が1歳6カ月を過ぎても保育園に入れなかった場合は、育児法の改定後には最長2年まで延長が可能になっています。
2017年あたりから急激に保育園の数が少なくなってしまったことが原因です。
そのため「待機児童」という言葉が年々よく耳にするようになりました。
延長が可能になる条件は?
① 保育所等(※1)における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、1歳(又は1歳6か月)に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合(※2)。
② 常態として子の養育を行っている配偶者(育児休業に係る子のもう一人の親である者)であって1歳(又は1歳6か月)に達する日後の期間について常態として子の養育を行う予定であった者が死亡、負傷・疾病等、離婚等により子を養育することができなくなった場合。
※1 保育所等とは、児童福祉法に規定する保育所、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律に規定する認定こども園及び児童福祉法に規定する家庭的保育事業等をいいます。
なお、認可外保育施設は含みません。※2 市町村に対して保育の申し込みをしているが、市町村から、少なくとも子が1歳(又は1歳6か月)に達する日の翌日において保育が行われない旨の通知(例えば市町村が発行する保育所の入所不承諾の通知書など)がなされている場合をいいます。
(育児介護休業法の則第6条又は則第6条の2より)
子供の保育所等が決まれば期間の短縮もできる
早期職場復帰したい場合は会社へ連絡し、保育所に子供を預けることができたら復帰できる可能性があります。
子供を教育できる環境が整っているのであれば、子供が1歳になる前にでも育児休暇を期間短縮は可能。
どうしても会社から必要とされていたり、早く稼ぎたい人にはこの方法もあるので覚えておきましょう。
育児休暇中のお金関係が気になる
育児休暇中は収入元が気になるところですが、働いていない状態で果たして食べていけるのでしょうか。
夫婦共に育児休暇に入った場合なども気になるところです。
育児休業給付金を受け取れる
基本的に会社は産後休暇や育児休暇に対して給与は支払わなくてもよいとされていますので、その間は無給状態になります。
しかし、育児休業給付金というものがあり、条件を満たした人は受け取れます。
申請は会社が行ってくれるところが多いですが、まれに自分で申請しなくてはいけないとこともあり、ハローワークで申請を行います。
・雇用保険に加入していて、勤務先から育児休暇中や休業開始前の給料の8割以上を支払われていない場合。
・1ヶ月に11日以上働いた月が2年間のうちに12ヶ月以上ある人。
・勤務日数がそれぞれ支給単位期間10日以下の場合。
以上の条件が満たされている人は雇用保険からの支給となります。
受給期間は基本は子供が1歳になる前日までとされます。
妊娠中に退職した場合や育児休暇を取らずに働いていた人は受け取れません。
社会保険料は免除される
育児休暇中の際に申請した「育児休業等取得者申請書」は引き続き社会保険料免除をするために必須事項です。
会社が行ってくれることが多いです。
健康保険や年金、社会保険料が免除され、事業主の負担分も免除されるのでしっかりと申請しておかねばいけません。
しかし、住民税は前年度の収入によって税金がすでに決まっているため免除にならないので注意が必要です。
育児休暇中の給付金の計算の仕方
給付金がどのくらいもらえるかを把握することで安心できます。
簡単な計算式がありますので、自分の日数などと比べてみましょう。
「休業開始前の賃金日額」×67%×「日数」
計算方法は休業前の給料6カ月の平均月収を出します。
給付金手当を受けられる期間は育児休暇開始日から180日までが核当され、月給の67%と定められています。
例えば平均月収が20万円だとしたら計算式に当てはめてみると20万×67%×6カ月としたら1カ月はあたり13万4,000円になり、6カ月で80万4,000円を受給できることになります。
しかし、育児休暇中に給料が支払われる場合は給料と給付金の合計が、休業する前の給料と比べて8割を超えないように調整しなくてはいけません。
「休業開始前の賃金日額」×50%×「日数」
181日目からそれ以降は育児休暇から最終日までが該当になり、月給の50%×休んだ月数分が支給されます。
計算式に当てはめると月給が20万円で、その半分になり1カ月10万円です。
これを残り日数3カ月とすれば30万円になり、先ほどの80万4,000円を足した金額になり給付金総額は、受給中は110万4,000円という数字が出てくるのです。
育児休暇の平均取得期間
一般的にどのくらいの期間を取っているのでしょうか。
気になる男女別に分けて比べてみました。
女性は10~12カ月未満が31%で一番多い
平成26年の厚生労働省発表のデータでは「10~12ヶ月未満が31.1%」「12~18ヶ月未満が27.6%」「8~10ヶ月未満が12.7%」で、「10?12カ月未満が一番多い期間」ということがわかります。
今や女性もバリバリ働く時代ですので、昔と比べて育児休暇が取りやすい環境になっているのでしょう。
職場復帰率も90%以上という高い数字ですので、共働きがとても多いことに驚きます。
女性の場合は社会復帰したとしても女性が多い職場は迎え入れてくれる理解はありますが、男性が多い職場はやはり理解してもらうということはむずかしく、そのまま退職してしまう人も多いようです。
男性は5日未満が56%と圧倒的に多い
「5日未満が56.9%」「5日~2週間未満が17.8%」「1~3ヶ月未満が12.1%」とというかなりの育児休暇の低さが目立ちます。
まだ周りの理解が少ないのが原因の一つと考えられますが、やはり半年以上会社を離れてしまうと仕事の昇格などに響くと考えている人も多いようです。
また、男性社会ですので育児は男のするものではないという昔からの風習が根付いているようです。
日本の理想な夫婦像に近づけるために、さまざまな改善策が作られていますが「パパ・ママ育休プラス制度」ができたからといって、まだまだ二人で育児休暇を取る環境にはなっていないのが現実です。
海外の育児休暇の期間はどうなっているのか
気になる海外事情はどのようになっているのでしょうか。
日本と比べると働きやすい環境ではありますが、国別に比較してみました。
育児休暇期間は3年で補助も手厚いフランス
フランスの就業時間はきっちりと時間が決められていて、週に35時間が原則で日本に比べると残業もほぼないため自分の時間を大切にできます。
1年以上働いていれば育児休暇期間は3年という長い期間与えられ、子供にとって学びの大切な時期に一緒にいれるということです。
フルタイムで働いていた人が産休に入ると、約7万円以上もの支給金が受けられます。
また、子供の預け先の選択肢が豊富なため、好きなところを選べる権利があるのです。
女性が仕事をすることに深い理解があるため、育児休暇から復帰しても同様の地位を約束されています。
最長3年の育児休暇が取得できるドイツ
「育児休暇」から「親時間」へと名称を変更し男性も取得しやすくなってきて、最長3年の期間が得られます。
また、子供が3?8歳の間で1年を繰り延べることも可能で、ドイツ国が親子が一緒にいる時間を大事にしていることがわかります。
男性に育児を手助けしてもらうことが目的で、給付金などを設けましたが金額が低かったため、男性は働かざるを得ない状況になりました。
しかし、ドイツでは子供がのびのび育つように、公立学校の授業料がほぼ無料などの対策をしていることが日本とは大きく違うところでしょう。
父母あわせて最大480日取得できるスウェーデン
取得時期は産後からではなくても、子供が8歳になるまでに取れば受けられます。
もともと国全体的に給与は低い人が多いのですが、給付金は給料の8割も受けられる可能性がありますので、かなりありがたいシステムです。
育児休暇期間は男性女性合わせた480日ですが、そのうち180日は取得せずに相手に譲れる権利がありますが、自分は最低でも2カ月は取得しなくてはなりません。
そのために最低日数を消化しなくてはいけないため、必然的に男性も育児に協力させれるのです。
育児休暇を理解して会社と相談しよう
今後社会復帰するにあたり、やはり円満に育児休暇に入りたいもの。
上司と相談したり理解してもらうために、少なからず引き継ぎなどもしっかりと責任を持つべきです。
妊娠したことはとても喜ばしいことですが、会社では一人いなくなってしまうのは痛手なのです。
戻ってきたら自分の席がなかったということがないように、日頃からの信頼関係も必要ですね。
しかし、育児休暇明けの退職も実際に多く起こっていて、理由は子供や母親の体調不良や精神喪失といったことも。
会社は育児休暇を拒否することはできないので、その分慎重に動くように心がけることもマナーなのです。