UKANO家計のクリニック

外貨預金に確定申告は必要なのか。外貨預金で利益がでたときの対処法

New Zealand cash, money or currency. Notes and coins

投資運用の1つ外貨預金に確定申告は必要か

もともと個人事業などの経験がある方は確定申告をしたことがあるかもしれません。
しかしそのような経験がない方は、自分で申告なんて慣れないですよね。
しかもお金のことになると、不安も大きいかと思います。

外貨預金を始めた方は、投資運用など利益を目的としていることが多いかと思います。
利益が出た方だけでなく、まだ利益はないけれど外貨預金を始めたという方は知っておくべきことです。

外貨預金で利益がでるケースは2つ

外貨預金をすると、どういった利益が得られるのでしょうか。

預けるだけで得られる利息

まず1つめは、預金をしているだけで発生する利息です。
日本よりも金利が高い国はたくさんあります。
日本は年々金利が減り続け、今では超低金利国です。
これをきっかけに外貨預金に移行している人が増えています。

為替相場の変動で得られる為替差益

2つめは、為替相場が変動することで得た利益です。
米ドルでいうと、1円=100ドルのときもあれば1円=110ドルのときもあります。
為替レートによって預けた時点と金額が変わる場合があるのです。
こちらの利益を目的とした方は、金額も大きいでしょうから確定申告は特に気になるところです。

利息にかかる税金

同じ利息で出た利益でも、預金口座が国内か国外かで違ってきます。

預入先が国内の金融機関の場合は源泉徴収される

日本国内の口座に預けている方は、通常の日本円の預金と同じように源泉徴収されます。
その為、国内の金融機関に預け入れをしていれば、自分で確定申告する必要はありません。
ちなみに、日本では預金の利子に対して所得税15.315%、地方税5%の合計20.315%が課税されます。

預入先が外国の金融機関の場合は確定申告が必要

国内の口座が源泉徴収されるのは、日本の金融機関が把握してくれるからですね。
国外の金融機関に預けている場合は把握してもらえていません。
したがって、国外の口座に預けている利益は確定申告しなければいけません。

外国で源泉徴収の場合は外国税控除を受けられる

国外の口座に預けている方は注意が必要です。
預け先の国でも源泉徴収され、二重に税金を払ってしまうことがあるからです。
このように国内外で二重に課税された分は、その年の所得税額から控除されます。
確定申告の際に、その年中に納付する外国所得税額も申告してください。
外国税額控除の欄があります。
ただし、外国税控除は所得税の控除限度額までしか受けられません。
下記はその限度額の算出方法です。

所得税の控除限度額=その年分の所得税の額×(その年分の国外所得金額/その年分の所得総額)
国によっては、この限度額よりも税金が多い場合があります。
そのような場合は復興特別所得税からも控除を受けられます。
詳しくは、国税庁のホームページの確定申告書作成コーナーで自動計算できます。

【参照リンク:https://www.keisan.nta.go.jp

為替差益にかかる税金

では為替差益はどのように課税されるのでしょうか。

為替差益は雑所得

為替レートの変動で得られた利益は、雑所得として確定申告をすることになります。
雑所得には「公的年金等の雑所得」と「公的年金等以外の雑所得」がありますが、外貨預金の為替差益はこの後者にあたります。

雑所得は総合課税される

所得の課税方法は総合課税と申告分離課税があります。
雑所得は総合課税の対象です。
給与所得など他の総合課税対象の所得金額と合計した総所得金額から税額が計算されます。

確定申告が必要

為替差益は確定申告が必要です。
雑所得が給与所得と合計されるということは、給与所得と扱いが同じということになります。
給与は確定申告していない場合でも、雇用者から申告されています。
為替差益とは別で勤務先から給与をもらっている方は、確定申告書と一緒に勤務先から交付される源泉徴収票を提出してください。

外貨預金の課税のタイミング

課税方法について分かったところで、次に課税のタイミングについて調べました。

投資運用は利益が確定したタイミングで課税される

投資している金融商品を決済して利益が出たタイミングが課税のタイミングです。
保有しているだけの含み益の状態には課税されません。

外貨預金では外貨を円に換金したタイミングで課税される

為替レートは常に動いているため外貨のままでは課税ができません。
円に換金した時を利益確定とし、課税されます。

利益が少額の場合は確定申告が不要になるケースも

実は為替差益でも確定申告が不要になる場合があります。
給与所得以外の利益が年間20万円以下だと確定申告の必要がありません。
年間20万円は、必要経費を引いた後の金額で大丈夫です。

また、同じ雑所得区分の所得同士なら、損益を相殺できます。
為替は利益だけじゃなく損失が出ることもありますよね。
そんな時に外貨預金以外で雑所得があれば、外貨預金の損失分で雑所得の合計金額を減らすことが可能です。
差し引きの結果20万円以下になれば申告不要です。

ただ例外として、給与所得だけで年間2,000万円を超えるときは雑所得が20万円以下でも申告が必要です。
他にも、所得税に関しては申告不要なだけで、20万円以下でも医療費控除の申請や住民税の算出に雑所得の申告は必要です。

確定申告は間違えると最悪脱税という不名誉な事態になりかねません。
少しでも不安なことがあれば、最寄りの税務署に相談しましょう。
分からないことはプロへ。
国税庁のホームページで検索できます。

【参照リンク:https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm