UKANO家計のクリニック

地方公務員の退職金について。平均額と計算式を把握しよう

地方公務員の退職金はどれくらい

公務員であれば給料も雇用も安定しているため不安は少ないですが、いざ退職を決めた際には退職金が気になる人が多いです。
公務員にも種類がありますが、地方公務員が退職すれば退職金はいくらもらえるのか、またそもそも退職金は支払われるのかと不安に感じる人もいます。

地方公務員は退職すれば、退職金がもらえます。
ただ、金額についてはさまざまな条件で異なるため、計算の仕方などを知っておきましょう。

地方公務員の退職金の平均

地方公務員といってもそのなかでさまざまな種類の仕事に分けられ、仕事によって退職金の金額は違ってきます。
また勤めている場所によっても金額は異なり、都道府県ごと、市区町村ごとにも若干の違いがあります。
個人によって金額のずれはありますが、平均額はあるため、まずはそれを知ることが大切です。
地方公務員でも退職時の条件で平均は異なります。
複数のモデルの平均額を知っておきましょう。

平均金額が高いのは指定都市の公務員

地方公務員にもさまざまな種類がありますが、退職金の平均金額が高いのは、指定都市の公務員です。
退職時の要件によって退職金額は異なりますが、指定都市の場合、退職金の平均額は約1,624万円です。

また平均額ではやや劣りますが、支給最高金額だけでみればもっとも高いのは市区町村に勤めている場合です。
指定都市、市区町村と比べると、都道府県に勤めている場合は平均額、最高額ともに低いといえます。

60歳で定年退職した場合の平均金額

退職金の支給額は勤続年数や退職理由によっても決まり、もっとも金額が大きくなるのは定年退職した場合です。
地方公務員が60歳で定年退職した場合、退職金の平均額は約2,300万円です。
これも都道府県、指定都市、市区町村によって違いはありますが、定年退職の場合は多額の金額が受け取れます。

平均だけでみれば中小企業に勤めている場合よりも退職金額は多く、公務員は月々の給料も含め、優遇されていることが多いといえます。

指定都市の公務員の定年退職金

公務員は国家公務員と地方公務員に分けられ、国家公務員のほうが退職金はたくさん貰えるとイメージする人が多いです。
しかし、実際には定年退職の場合の退職金額はそれほど大きくは変わらず、指定都市の公務員の定年退職金と比べた場合は、国家公務員のほうが少ないくらいです。

定年退職金がもっとも高いのは指定都市の地方公務員であり、そのあと都道府県、国家公務員、市区町村と続いています。

国家公務員の退職金の平均額

公務員の退職金について理解を深めるためには、国家公務員の退職金平均額も知っておくことが大切です。
公務員でも国家公務員と地方公務員では違いますし、退職金に関してもどれくらいの違いがあるのかを知っておきましょう。

常勤の国家公務員の退職金

まず常勤の国家公務員の退職金ですが、平均金額は約1,149万円であり、地方公務員と比べても平均額は低いです。
もちろん、これはあくまで平均の金額ですので、退職の要件によって支払われる金額は異なります。

定年退職で満額を受け取った人もいれば、早いうちに退職して少額しか受け取っていない人もいます。
あくまでそれらの平均であることは覚えておきましょう。

行政職俸給適用者の退職金

国家公務員のなかでも、行政職俸給適用者の退職金の平均額は約1,571万円です。
常勤に比べてやや高い金額ではありますが、それでも地方公務員のほうが平均額は高いです。

行政職の場合は仕事の責任なども大きく、月々の給料、俸給が大きくなるため退職金もそれに伴って増えています。

60歳で定年退職した場合

国家公務員が60歳で定年退職した場合、退職金の平均金額は約2,289万円です。
国家公務員のほうが金銭的に優遇されていると考える人が多いですが、退職金については地方公務員とほとんど変わらない水準です。
場合によっては地方公務員のほうが退職金が多いことを覚えておきましょう。

地方公務員の退職金の計算式

退職時にどれくらいの金額が退職金としてもらえるのか、さらに詳しく知りたい場合は、計算式に当てはめてみましょう。
公務員の退職金は計算式によって決められており、数値を当てはめていけば、より正確な金額が算出できます。

平均額はあくまで相場ですので、すべての人に当てはまるとは限りません。
平均額を鵜呑みにしていると、いざ自分が受け取る金額と比べて大きく食い違っている可能性もあるため、より詳細な金額の出し方を知っておきましょう。

退職理由を確認

公務員の退職金の計算式は、退職日の俸給月額×支給率+調整額で計算され、これは国家・地方に関係なく共通しています。
退職金を計算する際に考えたいのが支給率であり、これは退職理由によって異なります。
公務員の退職理由は自己都合と定年退職ですが、自己都合の場合は支給率がさがってしまうため注意しましょう。

公務員は途中で解雇されることがありませんので、民間のように会社都合退職はなく、自己都合と定年退職のどちらかになっています。

勤続年数の確認

支給率を知るためには、退職理由だけではなく、勤続年数も確認しておく必要があります。
支給率は退職理由と勤続年数の2つによって決められており、どんな理由で退職し、何年働いたかで決定します。

退職理由によっても退職金額は違いますが、勤続年数によっても支給率は異なります。
支給率は勤続年数が増えるほどにあがるため、長く勤めるほどに支給される退職金は増えます。

休職したことがある場合

途中で休職したことがある場合は、それも勤続年数に含まれるため注意が必要です。
休職期間がある場合の勤続年数は、退職年月日から勤続年数を引き、休職の除算期間を半分にして引いて算出します。

最終的な数字は端数は切り捨てになりますので、それによって勤続年数は何年になるかを考えましょう。
勤続年数は年単位で計算し、月単位の数字は切り捨てて構いません。

調整額を知っておく

公務員の退職金は退職時の俸給×支給率+調整額で算出しますので、より正確な金額を知るためには、調整額も確認しておく必要があります。
調整額とは職務の責任などに応じ、いかに組織に貢献できたかによって決められるものです。

公務員は級や号などで月々の給料が決められており、この級・号などのランクによって調整額が決定します。
民間企業でいうところの役職のようなものであり、役職手当がボーナスとして上乗せされるとイメージしておきましょう。

調整額がない場合もある

公務員の退職金は調整額までプラスして計算しますが、すべての人に調整額があるわけではありません。
調整額は職責に応じて決定するもので、働き始めてすぐに辞めた場合など、責任の重い職務に付いていない場合は調整額はないものと考えましょう。

具体的な要件は、勤続9年以下で自己都合退職の場合があげられ、これに該当すれば調整額はありません。
俸給と支給率をかけた金額が、退職金として支払われます。

地方公務員の退職金の今後

公務員は給料も雇用も安定しており、そのうえ退職金も安定しています。
金銭面での不安はほとんどありませんが、この状態がいつまでも続くとは限りません。
実際に公務員の給料や退職金などに関して変更の動きは起こっており、今後なんらかの変更措置がとられる可能性も十分にあります。
地方公務員の退職金は今後どのように変化するのか、その展望を知っておきましょう。

民間企業と公務員の退職金の調査結果

まず知っておきたいのが民間企業と公務員の退職金の調査結果ですが、結果からいえば公務員の退職金は民間企業より高いです。
民間の退職金平均が約2,459万円であるのに対して、公務員の退職金平均は約2,537万円です。

民間と公務員で大きく差が開いており、現段階だけでいえば公務員になったほうが退職金についてもより大きな金額が受け取れます。

地方公務員の退職金は減額傾向

公務員と民間で退職金額を比べた結果、公務員のほうが高額でしたが、この結果を受けて地方公務員の退職金額は減額傾向にあります。
これは民間企業に近づかせるためであり、全体の公平性を考えての措置です。

公務員の給料は税金から支払われており、これがあまりに多すぎると税金の無駄遣いとしてバッシングを受けてしまいます。
少なくとも民間企業の水準に近づけようということで、減額傾向になっていることは覚えておきましょう。

退職金額を予め把握しておこう

地方公務員の退職金は計算式で詳細まで割りだすことができ、退職に向けて一度計算しておくのがいいでしょう。
退職金は今後の生活にも影響するお金ですし、知っておいて損はありません。
長く働いたからたくさんもらえるだろうと漠然と考えずに、しっかりと計算し、使い道も含めて考えておくことが大切です。