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住宅手当の相場っていくら?住宅手当制度について知っておこう

住宅手当は企業により異なる

住宅手当、家賃補助は勤務先の企業にて規定されるもで、支給額も企業により大きく異なります。
各企業を比較しても支給金額は、数千円から数万円まで大きな幅があります。

賃貸に住んでいる場合は、家賃補助として家賃に対して規定されている割合を支給する企業もあります。
また、住宅手当、家賃補助は全ての会社で支給されるわけではなく、支給されない会社もあります。

住宅手当という制度について

福利厚生の住宅手当、勤め先から支給されている人は、支給されるのは当然と思っているのではないでしょうか。
また、支給額に疑問や不満を抱いている人もいるかと思います。
では、住宅手当とはどのような制度なのでしょうか。
住宅手当について見ていきましょう。

企業が従業員の住宅にかかる費用を補助する福利厚生の一種

住宅手当とは福利厚生の一種で、従業員の住居にかかる費用を企業が補助する制度です。
従業員が賃貸物件を借りて家賃を支払っている場合、企業が一部負担する家賃補助や、従業員が住宅ローンを利用して家屋を購入し、その返済を企業が補助する住宅手当などがあります。

企業が従業員に対してどのような基準で住宅手当や家賃補助の支給対象と規定しているのかは、企業により異なります。
住宅手当や家賃補助は会社が任意にて、支給の基準および支給額を規定できます。
また、住宅手当や家賃補助の導入そのものも会社が任意に決めることができるため、住宅手当や家賃補助の制度がない企業も多く存在します。

対象が賃貸物件の場合

住宅手当ではなく「家賃補助」と、名称が違う制度を導入している企業もあります。
では「住宅手当」と「家賃補助」にどのよう違いがあるのでしょうか。

法律上、「住宅手当」と「家賃補助」の区別は一切なく、基本的に意味は同じです。
どちらも企業が規定した基準条件を満たすことで支給されます。
ただし、「家賃を援助する」という意味の住宅手当や家賃補助では、企業から給与にて手当として支給されることになりますが、「企業が従業員に社宅を貸し、家賃の一部を負担する」という意味の家賃補助では、規定の家賃を企業から給与にて給与天引きで徴収することにより補助するのが一般的だそうです。

住宅手当の条件

企業から従業員への住宅手当の支給基準はどのように決まっているのでしょうか。
住宅手当は、法律で定められているものではありませんので、支給基準以前に支給するかどうか企業が決められます。
支給額や支給対象条件の基準についても企業が決められます。

ただし、企業側は社内規定等にて支給額や支給対象条件の基準を提示し、従業員が閲覧できるようにしなければなりません。
また、住居環境(地域、持ち家/賃貸など)により支給対象条件の基準が違う場合も、詳細に記載しなければなりません。

支給額の基準は、家賃または住宅ローンの支払い額により支給額を決める方法もあるそうです。
また、扶養家族の有無、世帯年収額によって支給の有無を支給対象条件としている場合もあるそうです。
企業は住宅手当を支給する場合、社内規定等に則り従業員に公平になるように支給しています。

住宅手当は課税対象

住宅手当、家賃補助どちらも給与の一部となるため、課税対象となります。
住宅手当や家賃補助の支給額が多いと、給与も多くなるため、所得税や住民税などの税金、社会保険料の支払いが増加します。
福利厚生に住宅手当があると生活が助かる反面、税金、保険料の支払いが増える可能性があります。

就職および転職を考えている人は企業選定の判断基準の1つにできるのではないでしょうか。
ただし、企業側が用意している社宅や寮を住居として借りる場合は、一般に賃貸として借りるよりも安く住め、課税対象にはなりません。

住宅手当の支給率

「平成27年就労条件総合調査」、あまり聞きなれない調査ですが、厚生労働省が実施しているもので、日本全国の常用労働者30人以上の民営法人の中から、調査対象が抽出されているようです。

本調査によれば、住宅手当の支給率は45.8%となっています。
一般に大企業といわれる企業は支給率が高い傾向にあり、従業員300人以上の中小企業といわれる企業は支給率が6割ほどと、全体平均で10ポイント以上、上回っています。

企業側にて支給条件や基準は決められますので、世帯主、既婚、扶養義務などを判定基準としている企業が多いようです。
一括購入した持ち家の場合は支給されませんが、持ち家を購入する際に利用する住宅ローンの1部返済を補助する企業もあります。
住宅手当を支給する企業が2006年では44.8%であったのに対し、最近では少し増加しているようです。

住宅手当の相場

企業により住宅手当の条件等が決められていることがわかりました。
では、住宅手当が支給される場合、支給額の相場はどのくらいなのか見てみましょう。

平成27年就労条件総合調査による平均額

厚生労働省が調査、発表した平成27年就労条件総合調査によると、同業全業における住宅手当の平均支給額は1万7,000円だそうです。
従業員が1,000人以上の大企業においても平均では1万9,333円とそれほど高額ではありません。

職種によって負担額が異なるケースがある

従業員に役職などの階級を設けている企業は、上の役職に在級するほど多額の住宅手当、家賃補助を支給している傾向があるようです。
ただし、企業により階級ごとの負担額が違いますので、どのくらい支給されているのかは外部からではわかりません。

務めている企業の社内規定、就業規則などを閲覧して、ご自身がどれくらいの負担額をまかなってもらえるのか知っておくとともに、業界、職種によって離職の年齢層に偏りがあり、支給額や支給条件が違いますので、大まかに他企業の福利厚生について調べておくと良いでしょう。

平成27年就労条件総合調査によるの業種別住宅手当最高額

厚生労働省が調査、発表した平成27年就労条件総合調査によると、業種別で見た場合の最高平均支給額は、情報社会の昨今では生活に欠かせなくなっている、インターネットやスマートホンなどの情報通信業界で2万5,312円です。

平成27年就労条件総合調査によるの業種別住宅手当最低額

厚生労働省が調査、発表した平成27年就労条件総合調査によると、業種別で見た場合の最低平均支給額は、ライフラインである電気、ガス、水道などのインフラ業界で1万466円です。

地域や住んでいる場所によってなどで支給額が異なる場合もある

東京や関西地方などでは、住居のある地域によって住宅手当の負担額上限が異なることが多いようです。
居住している住所に合わせて負担額が変動する場合もあるようで、駅に近い地域に居住している方が高額、駅から遠方ほど低額となる制度をとっている企業もあるようです。

ただし、駅から遠方に居住している人は交通費が高額になりますので、企業としては住宅手当、交通費を合わせて同程度の負担になっているようです。

住宅手当の注意点

ここまで、住宅手当とはどのような制度なのか、各業界ごとの相場など見てきましたが住宅手当における注意点を見てみましょう。

住宅手当を導入している会社は減少傾向

代表的な福利厚生と言っても良いぐらいの住宅手当、および家賃補助ですが、最近では廃止または支給額の減少をする企業が増えてきているようです。

ご自身が務めている企業以外では、知る機会が少ないですが、住宅手当および家賃補助の制度を規定している企業が減少しています。
特にベンチャー企業など、起業して数年の企業などは住宅手当、家賃補助の支給制度がないところが多いようです。

社宅も考慮しよう

企業が独身寮および社宅を保有していているならば、単身世帯の人は住宅手当を支給してもらうより、独身寮や社宅を借りる方がお得です。
なぜお得なのでしょうか。
住宅手当は法律上、給与として扱われますので、所得税や各種保険料などの支払い義務が発生します。

一方で、独身寮や社宅であれば、給与から天引きされるのが一般的です。
所得税や各種保険料などの支払いは天引き後の給与に対してとなりますので納税額が減る分お得になります。

近年は住宅手当を廃止する企業も増えてきているので注意しよう

最近では転職サイトなどを閲覧していると、企業紹介の福利厚生欄に住宅手当が記載されていない企業が増えてきているので注意が必要です。
大半の大手企業では福利厚生に住宅手当が記載されていますが、中小企業やベンチャー企業では住宅手当の記載がないことが多いです。

これから就職する人、転職を考えている人は、福利厚生に住宅手当があるのかどうか注意しておきましょう。
基本給が高くても福利厚生で支給される手当などが無い企業は、基本給が安くても福利厚生が充実している企業とあまり給与が変わらないことになります。
住宅手当は必ずしも全企業が導入している制度ではないことを覚えておきましょう。