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個人事業主の青色申告について詳しくなる
個人事業主の確定申告は、青色申告と白色申告のどちらかを選ぶことができます。
節税効果の高い青色申告について詳しく解説します。
青色申告のメリット、青色申告をするために必要な提出書類や期限、白色申告との違いについて知り、手続きをスムーズにしましょう。
青色申告は届出により税金などが優遇される
青色申告は、青色申告申請承認書を提出することで申告可能になります。
所得税や住民税などの税金は、所得金額によって決定されますので、帳簿をきちんとつけることにより、必要経費を増やすことができ、所得金額を減らすことが可能になります。
すなわち税金が優遇されることになります。
青色申告は個人事業主の節税対策になる
青色申告が個人事業主の節税対策になるのはなぜなのでしょうか。
一般的に所得があがるほど節税になると言われますが、それはなぜなのか解説します。
所得が大きくなるほど節税できる
所得税は、所得が増えると税率も上がる累進課税という方法をとっていて、現在は所得額に応じて、5%?45%の7段階に区分されています。
実際に所得が100万円と500万円の場合の所得税額を計算してみると、税額はそれぞれ50,000円、57万2,500円となります(※税率の計算についてを参照)。
では、必要経費が10万円増えた場合の税額はどうなるでしょう。
それぞれの税額は45,000円、55万2,500円となり、5,000円、20,000円の節税となりました。
つまり、500万円の所得のほうが15,000円多く節税することができました。
所得額が増えれば増えるほど、節税効果が高くなる仕組みです。
税率の計算について
- 100万円の場合:税率5%、控除額0円。
100万円x5%=5万円 - 500万円の場合:税率20%、控除額42万7,500円。
500万円x20%-42万7,500=57万2,500円
【参考URL:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm】
青色申告承認申請書は1度の提出で良い
一度申請書を提出し受理されると、次の年も青色申告となります。
毎年、青色申告承認申請書を提出する必要はありません。
青色申告にしたい年の3/15までに届出る
青色申告をする場合には、その年の3月15日までに「青色申告申請承認書」を届け出る必要があります(1月16日以降に開業した場合は開始日の2カ月以内)。
申請方法には、「管轄の税務署に届け出る」「郵送で申告する」「e-taxで申告する」の3つの方法があります。
管轄の税務署に届け出る場合
開庁時間は平日8:30-17:00となっています。
土日祝日と年末年始(12/29~1/3)は閉庁していますが、申告書は税務署の時間外文書収受箱(夜間文書収受箱)へ投函することも可能です。
郵送で申告する場合
郵送の場合、管轄の税務署長宛に提出します。
提出期限は、3/15当日の消印までとなります。
e-taxで申告する場合
e-taxでの申告は、平成29年から導入されました。
事前準備がいくつか必要ですが、事前準備後e-taxソフトをインストールし、作成したい届出書を選択、必要事項に入力・送信することで申請完了となります。
e-taxのWebサイトに、詳しい申請方法が記載されていますので、一度ご覧になることをお勧めします。
参照URL:https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm
参照URL:http://www.e-tax.nta.go.jp
届出をしない白色申告との違いについて
青色申告は白色申告より税金が優遇されるということはすでに説明しました。
青色申告と白色申告とではどのような違いがあるのかを、帳簿について、計上できる経費や適用される控除額、赤字の繰り越しのそれぞれについて詳しくみていきたいと思います。
青色申告の方が詳しい帳簿が必要
どちらの申告においても帳簿をつける必要がありますが、青色申告の場合はより詳しい正規の帳簿(複式簿記)をつける必要があります。
複式簿記は手間だと思っている方も多いかと思いますが、会計ソフトを使うことによって、その手間を大幅に軽減することができます。
家族の給与の全額を経費で計上できる
家族への給与は原則必要経費として認められていませんが、「青色申告専従者給与に関する届出書」を提出することにより全額を必要経費とすることができます。
従業員となる家族は青色事業専従者※である必要があります。
白色申告の場合は、専従者控除として一定額(事業主に配偶者の場合は86万円、その他の家族の場合は50万円)の控除に留まります。
青色事業専従者とは
- 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
- その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
- その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。
【参考URL:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2075.htm】
青色申告特別控除が適用される
青色申告をしているだけで、青色申告特別控除をうけることができます。
複式簿記をつけている場合は65万円、簡易簿記の場合は10万円の控除となります。
3年間は赤字を繰り越すことができる
青色申告の場合は、赤字額を3年間繰り越すことができます。
確定申告の際に、第四表(損失申告用)を提出することで、損失申告をすることができ、翌年以降損失を繰り越すことができるようになります。
白色申告の場合は、一切繰り越すことができません。
青色申告までにやっておくこと
確定申告は2月16日から3月15日(土日などの関係で前後する場合あり)までに書類を提出する必要があります。
確定申告の時期に慌てないようにするためには何を準備しておけばよいのでしょうか。
入金や出金などお金の流れが生じたらその都度帳簿をつけること、領収書を日付ごとに整理することが大事になってきます。
この1年間つけていた帳簿をもとに、年末に決算整理をし、帳簿を締め切って集計、青色申告決算書(損益計算書+貸
借対照表)を作成することになります。
さらに、この決算書をもとに、確定申告書を作成、これらの書類を税務署へ提出するという流れになります。
帳簿の記入漏れやミスがないか、計上し忘れている項目がないか、計上した項目に間違いがないかなど、ミスが生じないよう注意が必要です。
また、確定申告の締め切り日を1日でも過ぎると、青色申告特別控除の額が65万円から10万円になってしまいます。
締め切り日に間に合うように早めに必要書類を作成しましょう。
青色申告を正しく理解して節税対策に取組む
白色申告より節税効果の高い青色申告。
青色申告をするためには、「青色申告申請承認書」を提出し、複式簿記で帳簿をつけることにより可能になります。
これまで説明してましたが、青色申告でしか認められていない経費や控除、赤字の繰り越しなど、メリットがたくさんあります。
青色申告を正しく理解し、節税対策に取り組みましょう。