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厚生年金の受給額を知ろう。 国民年金との違いや計算方法を解説

厚生年金の受給額の計算はややこしい

給与から差し引かれている「厚生年金保険料」、けっこうな額を毎月支払っていますが、年を取った時、いくらぐらいもらえるのか気になりませんか?まだまだ先のことだから、考えたことなかったという人も、多いでしょう。

おおよその金額を確認して、人生のマネープランを立てておくことも必要です。
厚生年金の受給額の計算は非常に複雑なものになっています。
本当にもらえるのか?受給資格をクリアしているのか?詳しく説明していきましょう。

厚生年金とは何か

日本の公的年金はは国民年金と厚生年金の2種類があります。
2つの年金の違いや特徴、仕組みなどを解説します。

日本の2つの公的年金制度

日本の公的年金の制度は、国民年金と厚生年金この2つの年金制度による二階建て構造になっています。
国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満の人の加入が義務付けられていて基礎年金とも呼ばれ、基本的な生活を最低保障するベースの年金、一階部分に当たります。

会社員の2階部分は厚生年金です。
公務員や私立学校に勤務している人は、共済年金に加入していて、共済年金が2階部分にあたります。

厚生年金に加入していない、学生や自営業の人には、国民年金基金や個人型確定拠出年金が2階部分です。

老後に受け取れる年金の受給額

老後に受け取ることができる公的年金の額は、1階部分の国民年金から支給される「老齢基礎年金」と厚生年金から支給される「老齢厚生年金」を合算した金額が支給されます。

老齢基礎年金の受給額の保険料月数から、計算されます。
老齢厚生年金は厚生年金への加入期間と加入期間の平均給与から算出されます。

厚生年金の加入条件がある

厚生年金に加入している会社に勤務している人は、15歳から70歳まで厚生年金に加入する義務があります。
70歳以上でも加入期間が不足している場合は、加入することが可能です。

ただし、日雇いや雇用が2カ月未満の短期契約の場合、事業所の場所が一定でない場合、4カ月以内の季節的事業の場合、6カ月以内の臨時事業所での勤務の場合は、厚生年金の加入条件に該当しません。

アルバイトやパートなどで働いている場合、一定の条件を満たせば、厚生年金に加入できます。

厚生年金加入者の国民年金の扱い

サラリーマンの人は厚生年金に加入しています。
毎月の給与から支払っている厚生年金保険料の中には、国民年金と厚生年金の両方が含まれています。
厚生年金に加入することで、同時に国民年金にも加入していることになっているので、二重に支払いをする必要はありません。

年金の受給開始年齢が決まっている

老齢基礎年金は国民年金に10年以上の加入、老齢厚生年金は厚生年金に1カ月以上加入すると受給資格が与えられます。
受給開始年齢は、段階的に引き上げられていますが、現役世代のほとんどの人は65歳から受給開始です。
65歳未満で支給を開始する場合は、1年以上の加入期間が必要です。

会社員は厚生年金と国民年金の両方を受給できる

会社員は毎月の給与から厚生年金と国民年金の保険料を支払っています。
そのため国民年金から支給される老齢基礎年金と、厚生年金から支給される老齢厚生年金の両方を受給できます。
この2つの年金制度から支給される年金を受給することから、年金の2階建て構造と呼ばれています。

厚生年金は男女差が大きい

厚生年金の受給額は加入期間と加入期間中の収入額によって算出されます。
加入期間が長く、収入額が高いと支払い保険料も高くなりますので、受給額は高くなります。
平成28年度の平均年金月額は、男性が16万6863円、女性が10万2708円となっており、女性の受取額は男性の61.5%となっています。

年金の受給額の計算方法

65歳からもらえる年金の受給額の算出の仕組みを理解しておきましょう。

老齢基礎年金の受給額

国民年金から支給される老齢基礎年金は、保険料の払込期間と保険料の免除を受けた期間が合計10年以上の人に受給資格があります。
厚生年金に加入している会社員は10年以上の勤務経験があれば65歳から老齢基礎年金を受け取ることができます。
受給額は保険料の払込期間から算出されます。

老齢基礎年金の支給額、物価指数などを考慮し毎年見直しが行われますが、30年度の支給額は国民年金払込月数に約1,623.5円をかけた額になっています。
満額の支給は480カ月分の77万9300円が上限となっています。

老齢厚生年金の受給額

老齢厚生年金を受給できるのは、原則65歳からとなっています。
60歳から支給を開始する繰上げ支給は、受給額が減額されます。
66歳から70歳までの希望する年齢から受給を開始する繰り下げ支給の場合は、受給額が増額されます。

65歳以上の老齢厚生年金の受給額は「報酬比例年金額」「経過的加算」「加齢年金額」の3つの部分から成り立っています。

厚生年金保険の加入者の被扶養配偶者の保険料免除

厚生年金に加入している会社員は、国民年金(基礎年金)の第2号被保険者と呼ばれます。
第2号被保険者に扶養されている配偶者(20歳以上60歳未満)は第3号被保険者と呼ばれ、国民年金の保険料が免除されます。

ただし、年間収入が130万円未満であること。
同居の場合は、扶養者の収入の半分未満の収入であることなどの条件があります。
年金法では、婚姻届けを出していない事実婚の場合も配偶者として認められます。
また妻か第2号被保険者、夫が第3号被保険者も認められています。

手続きは、第2号被保険者の配偶者の勤務先を通して届出をする必要があります。

もっとも簡単に厚生年金受給額を知る方法

年金の制度や受給額の仕組みについて、お判りいただけたでしょうか?手っ取り早く厚生年金の受給額を知る方法の一つが、誕生月に送付される「ねんきん定期便」です。
「ねんきん定期便」には、加入期間、保険料累計納付額、これまでの加入実績に応じた年金額の試算情報が記載されています。

また日本年金機構が運営する「ねんきんネット」では、最新の年金情報を確認できます。
「ねんきん定期便」にアクセスキーが記載されています。
アクセスキーを使えば、ユーザIDを即時取得できます。

ねんきんネット:http://www.nenkin.go.jp/n_net/index.html

厚生年金受給額の計算方法の説明

厚生年金の受給額は、どのように決定しているのでしょうか?計算の方法や、受給額が上乗せされる条件を確認しましょう。

在職中の所得で報酬比例年金額が決まる

65歳以上の老齢厚生年金の受給額は「報酬比例年金額」「経過的加算」「加齢年金額」の3つの部分から成り立っています。
「報酬比例年金額」は在職中の給与額から算出され、老齢厚生年金の本体部分にあたります。

「経過的加算」は、国民年金の老齢基礎年金との差額を補うために加算される制度です。
「加齢年金額」は、年金受給開始時に、扶養している家族がいる場合加算されるものです。

平成15年3月までの計算

老齢厚生年金の本体部分となる「報酬比例年金額」は給与額から算出される「平均標準報酬月額」「平均標準報酬額」をもとに計算されます。
平成15年に算出方法が変更になったため、15年以前と15年以降の2つの計算式から算出した金額を合算したものが報酬比例年金額です。

「平均標準報酬月額」は、平成15年3月までのボーナスを除いた平均給与から算出した額です。

<A>報酬比例年金額=ボーナスを除いた「平均標準報酬月額」×生年月日に応じた率×平成15年3月までの厚生年金加入月数

平成15年4月以降の計算

平成15年4月以降の「平均標準報酬額」は、ボーナスを含めた年収÷12で平均給与を算出されます。

<B>報酬比例年金額=ボーナスを含めた「平均標準報酬額」×生年月日に応じた率×平成15年4月以降の厚生年金加入月数
報酬比例年金額は<A>と<B>を合算した額です。

難しい経過的加算

「経過的加算」は、国民年金が20歳から60歳までの40年間が加入期間となっていますが、厚生年金は例えば中卒から働き始めた場合は16歳から、60歳以降も働き続けた場合は加入が可能です。
国民年金の老齢基礎年金に加算されない20歳未満、60歳以降の老齢基礎年金を老齢厚生年金で補う制度です。
ただし、60歳までに国民年金に40年間加入していた場合は、上限に達しているため、加算はされません。

経過的加算=1,623円×生年月日に応じた率×厚生年金加入月数-77万9,300円×20歳以上~60歳未満の厚生年金加入月数÷加入可能年数×12

家族手当みたいな加給年金額

「加給年金額」は65歳の年金受給開始時に、生計を維持している配偶者や子供がいる場合加算される、家族手当のようなものです。
65歳未満の配偶者に対して年間22万4,300円、未成年の1~2人目の子供に対し各22万4,300円 、3人目以降の子供には各74,800円が加算されます。
加給年金額を加算するには、届出が必要です。

加給年金が上乗せされる条件がある

加給年金額加算は、厚生年金加入期間が20年以上の人が対象になっています。
(昭和26年4月1日以前に生まれた人は、特例により15~19年の加入期間でも認められます。)
期間が達していないと、対象外となり加算されません。
ねんきん定期便などで加入期間を確認しておきましょう。

加給年金には「特別加算」が付いている

65歳未満の配偶者に対しての加給年金は年間224,300円ですが、年金の受給を開始する人の生年月日により特別加算が上乗せされます。

※受給権者の生年月日は配偶者の生年月日ではなく、年金を受給する本人の生年月日です。

加給年金の条件

加給年金を受け取るには、年金受給者の20年以上の厚生年金加入条件だけでなく、配偶者、子供にも条件があります。

加給年金の加算は、すっと継続されるわけではなく、配偶者が65歳まで、子供が18歳(もしくは20歳)になった時点で、支給は停止されます。

年金の受給額を増やす方法はあるのか

老後にお金で苦労はしたくないものです。
少しでも年金の受給額を増やしておきたいものです。
できれば若い現役世代から、計画を始めましょう。

厚生年金の金額には上限がある

国民年金の老齢基礎年金の支給額は480カ月分の77万9,300円が上限となっています。
老齢厚生年金の上限はどのくらいでしょう?現在の厚生年金保険料の算定基準となる「標準報酬月額」の最高額は31等級の62万円となっています。
毎月の給与が60万5,000円以上はどれだけ高額の給与でも、標準報酬月額は62万円となり、月々の保険料は56,730円となっています。
(平成29年10月以降~)
保険料に上限があるため、老齢基礎年金の支給額にも上限があります。
最高月額62万円に対応する保険料を40年間払い続けた場合、年間の支給額は300万円ほどです。

現役時代にできるだけ積み立てる

老齢厚生年金の受給額は、現役中の収入と加入期間の長さで算定されます。
年金の受給額を増やすには、長く加入することと、期間中の給与やボーナスなど収入を増やすことが重要です。
ただ、給与やボーナスがどんなに高くても、厚生年金の制度には、上限が定められています。

老後の生活の支えとなる、年金受給額を増額するために、「企業年金」や「確定拠出年年金」などの制度があります。
収入のある現役中にこれらの制度を検討しておくことも必要です。

企業年金や確定拠出年金を利用する

勤務先の会社が用意している企業年金は、確定給付企業年金と企業型確定拠出年金が代表的です。
確定給付企業年金は年金の支給額が決まっています。
企業型確定拠出年金は、毎月支払う金額が決まっています。
どちらも運用のリスクは企業が負います。
企業年金の多くは、会社が支払う分に加え、従業員が上乗せをして掛け金を支払う形をとっています。
掛け金は控除対象となっています。
また企業年金は、年金を受け取る際にも控除を受けることができるので、メリットは大きく、勤務先に企業年金がある場合はぜひ活用してください。

勤務先が企業年金を用意していない場合や、自営業の人は個人型確定拠出年金(iDeCo)への加入が可能です。
こちらも掛け金が全額控除されます。

企業年金や確定拠出年金は、株式や投資信託などの資産運用に比べ、同じ株式投資でも税金面で優遇されています。

年金の受給額を把握して老後の計画を立てよう

年金の受給額は、物価や賃金の変動に応じて改定されますが、平成30年度の老齢基礎年金は、据え置きとなりました。
「国民年金法改定案」別名年金カット法案は平成30年4月から実施されています。
3年後には物価、賃金との連動が行われ、今まで一定額を受給していた世代の人の年金のカットが、5年以内といわれています。

減額が予想される公的年金ですが、老後を支える大事な収入源、生活基盤です。
年金の受給までは、まだ時間があると思っている人も、受給できる年金額の目安を知ることが大切です。
子供の教育資金や住宅ローンなど、必要なお金を加味しながら、何ができるかを考えるにも、まず正確な年金の受給額を確認しましょう。

「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、見込みの試算額を確認し、参考にしてください。
現役のお金を稼げる間に、資産運用にあわせて、企業年金や確定拠出年金なども検討してみてください。