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家賃は収入の3割がよいというのは本当だろうか
これから一人暮らしを始める人にとって、家計を大きく左右する家賃は大きな悩みどころだと思います。
よく家賃は収入の3割がよいという情報を耳にしますが、はたしてそれは本当なのでしょうか。
ここでは、そんな収入に対しての、家賃の割合について詳しくみていきます。
実際に家を借りてから家計を家賃に圧迫されてしまうことがないように、収入と家賃の割合を知っておきましょう。
収入の3割が適正だった時代
かつては収入の3割が適正とされていたようです。
はたしてそれはいつの時代なのでしょうか。
またそれは現在でも通用するのでしょうか。
ここでは、なぜ収入の3割が適正といわれていたのか、そしてそれはいつの話なのかなど、収入の3割が適正だった時代や、そのようにいわれていた趣旨についてみていきましょう。
20年前~30年前
収入の3割の家賃が適正という話は、はたして本当なのでしょうか。
実は現在からさかのぼること20年前から30年前は、家賃は収入の3割が適正といわれていました。
しかしそれは、勤続年数が増加するにつれて、給料も上昇していた時代の話です。
いわゆる年功序列や終身雇用が存在していたときの話なのです。
それに対して現在、終身雇用は崩壊し、年功序列は成果主義や実力主義といったものに移行しています。
また、最近では比較的景気は戻ってきているといわれていますが、リーマンショック以降のサラリーマン年収は厳しい現状が続いています。
なので収入の3割が適正だった時代が現在も通用するのか、そして今現在の収入や今後の収入を考えたときに本当に暮らしていけるのか、今一度考えなおす必要があるのかもしれません。
手取りの3割
そもそも収入の3割の家賃といいますが、この収入の意味を勘違いしていると、思いがけない出費となり家計を圧迫してしまう可能性があります。
収入の3割というのは、総支給に対してではなく、手取りに対して家賃が3割ということです。
総支給とは、基本給や各種手当などすべてを合計したものです。
それに対して手取りとは、総支給から保険料や税金がひかれた額です。
つまり自分の手元に入るお金のことです。
一般的に総支給に対して手取りはおおよそ80%になるといわれています。
この認識を勘違いしてしまうと、家計の管理に影響する恐れがでてきますので、年収の意味は手取り額であるという認識をきちんともっておきましょう。
家賃には共益費や管理費を含む
これもよく勘違いしやすいことなのですが、家賃の認識についてです。
アパートや特にマンションなどは、家賃の他に管理費や共益費などが発生するケースがあります。
収入の3割が適正という家賃ですが、この家賃は管理費や共益費を含んだものだということ知っておく必要があります。
またそのほかにも、例えば自動車を所有している人であれば、駐車場費用も発生するかもしれません。
これから初めてアパートやマンションを選ぶという人は、家賃だけをみずに、管理費や共益費、駐車場の費用など全体的に考えることが重要です。
会社からの家賃補助がある
家賃は収入の3割が適正といわれていたのは、20年前から30年前というお話をしました。
実は好景気だった頃は特に、会社からの家賃補助があることも珍しくありませんでした。
もしかしたら、現在も福利厚生が整っている会社や待遇のよい会社であれば、会社からの家賃補助があるかもしれません。
もし会社が家賃をかなりの割合で補助してくれるとなれば、この3割という考え方や、アパートやマンションを借りる予算も変わってくるはずです。
しかしながら以前にくらべそういった会社も少なくなってきているのが現状です。
ですので、賃貸契約をする前に、会社からの家賃補助があるかどうかを事前に確認しておくとよいでしょう。
現代の適正家賃
以前は、家賃は収入の3割が適正だったとのことですが、少し疑問がのこってしまいます。
それは、3割が適正だった時代が20年前から30年前の話なのであれば、現在の適正家賃はどのくらいなのかという点です。
はたして現代の適正家賃は、どのくらいが適正なのでしょうか。
ここからは、現代の適正家賃について詳しく解説していきます。
経済が低成長期に入ったことや年功序列制度の衰退
まず現在の適正な家賃を考えるにあたって、今現在の経済的な状況を把握する必要があります。
現代の日本の社会では、年功序列制度が衰退してしまい、終身雇用も崩壊しつつあります。
つまり、安定した大企業の会社に入社したとしても、将来的な給与収入の増額や、定年までの仕事について、保証されにくい社会になってきているのです。
それに加えてリーマンショックや不景気の影響で、経済が低成長期になっていることも考慮しなくてはなりません。
そのため、家賃を考えるには、今現在の収入はもちろんのこと、今後の収入の見通しも考えてきめていかなくてはならないのです。
そう考えればなおさら、収入の3割は本当に適正なのか、疑問がわいてくるのではないでしょうか。
年収に見合った家賃
では具体的に年収に対して見合った家賃とはどのくらいなのでしょうか。
20年前から30年前に3割といわれていた年収に対しての家賃ですが、現在では「2.5割」といわれているようです。
つまり家賃が年収の2.5割をこえてしまうと、経済的に非常にきつくなってしまう可能性があるということです。
実は現在、実際に収入の3割の家賃負担できつく感じる人がおり、2割まで減らしたいと考えている人がかなり多いとの情報もあります。
現実は2.5割といわれていますが、2割に近い方が暮らしは楽になるでしょう。
これは、経済が衰退した現状の社会では仕方のない数字なのかもしれません。
そのため、自分が今置かれている立場などを考慮しつつ、数年後でもこの家賃が払えるか慎重に考えて、家賃を決めることが重要なのです。
年間の家賃の額は
実際の家賃の目安を知っておきましょう。
年収の2.5割とのことですが、実際に数字で表すと本当に払っていける額なのか分かりやすくなると思います。
ちなみに計算方法は簡単で、年収に0.25をかけるだけです(年収×0.25)。
これだけで自分の年収に対しての目安になる年間家賃額が、具体的に数字ででますので一度計算をしてみましょう。
実際の具体的な金額を知ることで、ぐっと生活プランが立てやすくなるでしょう。
家賃が3割の場合
現在、収入に対して3割の家賃では、かなり家計が圧迫されてしまうと考えられているようです。
実際に計算して金額をだすと実感できると思いますが、月収の3割を家賃として定期的に払っていくのは厳しい気がします。
仮に払っていける金額だとしても、将来に備えての貯蓄やその他の支出も考慮しなくてはなりません。
ちなみにお金を借り入れる場合の目安は、一般的に2割以下といわれています。
この割合から考えても、家賃の3割はやはり高く感じてしまいますので、できれば家賃も2.5割以下におさえたいところです。
年収が400万円未満の人の住宅事情
年収によって払える家賃には差がでてきますので、住宅事情などもかわってきます。
また、家族構成や生活スタイルによってもかわってくるでしょう。
そこでここからは、年収が400万円未満の人の住宅事情について解説していきたいと思います。
独身の場合
年収が400万円未満で独身の場合の住宅事情についてです。
例えば独身の場合、ワンルームを借りる人が多く、家賃に支払う金額については月6万円から8万円ぐらいが一般的なようです。
ちなみに、年収が400万円と考えるなら収入の2.5割と考えると、適正な年間家賃額は100万円以下です。
1カ月に換算すると、約83,000円程度の金額です。
確かに2.5割以下には抑えられていますが、年収400万円と考えた場合、少し高い感じがしてしまいます。
ファミリー世帯の場合
ではファミリー世帯の場合はどうでしょうか。
ファミリー世帯ではワンルームではなく、広めの部屋を借りる人が大多数のようです。
しかし、広めの部屋となると、家賃も高くなってしまいますが、適正な年間家賃額は独身世帯と同じです。
そのため、交通の便を犠牲にしてでも、部屋の広さをとる人が多い傾向があるようです。
年収500万円~800万円と年収1,000万円の場合の住宅事情
では年収500万円以上の場合はどうなのでしょうか。
年収500万円から800万円のケースと、年収1,000万円のケースをそれぞれみていきましょう。
年収500万円~600万円の場合
年収500万にもなると月収では手取りで約25万円以上、600万では30万円以上にはなるでしょう。
それなりに暮らしにも余裕があるのではないでしょうか。
家賃は10万円から12万円5,000円程度で、比較的広めの部屋を借りる人が多いようです。
ちなみに適正な年間家賃額を年収の2.5割として計算すると、年収600万円で150万円以下が理想です。
これは月に換算すると600万円で12万5,000円ですので、広めの部屋に住めるのも納得です。
年収800万円の場合
年収800万円の場合についてです。
適正家賃については13万3,000円以下程度です。
これだけ払うのであれば、マイホームも検討するという考えも浮かんできます。
実際に住宅の購入を検討する人も多いようです。
年収1,000万円の年間適正家賃は250万円
年収1,000万円にもなれば、年間の適正家賃を計算すると250万円にも及びます。
月に換算すると、20万8,000円です。
年収800万円のケースと同様ですが、ここまでくるとマイホームやマンションなどを購入する人が多いのが現状のようです。
家賃を低くする方法
適正家賃は年収の2割から2.5割が理想とお伝えしてきましたが、できれば安いにこしたことはないと思います。
そこでここからは、家賃を低くする方法についてみていきます。
住む場所を地方に変える
年収が安い場合、賃貸の物件を選ぶ選択肢はかなり狭くなってきます。
例えば手取りが20万円にも満たない場合は、年収計算で240万円以下となり、適正家賃は月額で4万円から5万円以下の物件をさがさなくてはなりません。
これは、都市部で探すにはかなりきつい金額ではないでしょうか。
その場合、住む場所を地方に変えることで、物件の選択肢がひろがってきます。
地方では4万円を下回る物件もめずらしくありません。
地方にいくほど家賃が安く、また広い物件が多い傾向がありますので、もし家賃を低くしたいのであれば、地方を中心にさがすのもよいかもしれません。
築年数の古い家を選ぶ
職場などの関係で地方に住むことは難しい場合もあると思います。
そんなときは、比較的築年数の古い家を選ぶことで、家賃を安くできます。
もし古い家が嫌だという人でも、最近はリフォームされている物件も多く、築年数に対して比較的部屋がきれいなアパート・マンションなども多いです。
なので築年数を妥協して部屋を選ぶのは、家賃を低くする方法としてはおすすめな手段です。
駅から遠い場所に住む
駅から遠い物件も比較的家賃は安くなる傾向があります。
駅は公共施設であり、近くに存在すること自体に価値があります。
そのため、駅から遠い物件は必然的に家賃は安くなってしまいます。
しかし、駅から遠い場所では、不便ではないのかと考える人もいると思いますが、そうとも限りません。
たしかに交通の便は悪くなるかもしれませんが、例えば職場に近い場所を借りれば、それだけで自分にとって価値のある物件ということです。
一概に駅近というワードで選ぶのではなく、自分に適した場所を選択することで、家賃も安くなる可能性は十分にあると思います。
適正な家賃で余裕のある生活を送ろう
家賃は収入の3割が理想というのは、終身雇用や年功序列が存在した20年前から30年前も昔の話です。
今の経済状況を考えれば、2割から2.5割程度が適正家賃といえるのではないでしょうか。
現在の自分のおかれている立場や収入を十分に把握して、適正な家賃のマンションやアパートを借りて余裕のある生活を送りましょう。