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退職理由は整理整頓出来ればOK。次の活動へ繋げる一歩へ。
だれでも退職したいと思うことは一度はあるはずです。
そんなとき、退職を即決できる人は少ないのではないでしょうか。
仕事を辞めたいと思ってはいても、次の仕事を見つける自信がなく、退職に踏み切れないでいませんか。
退職理由がネガティブなので、転職にとって不利になるのではと悩んでいるかもしれません。
しかし、退職理由をきちんと整理し、次の活動へ活かすことができれば、一歩踏み出す勇気が出るのではないでしょうか。
今いる会社への退職の伝え方や面接での答え方など、退職準備をしていきましょう。
退職する前に法律を確認
退職は労働者に認められた権利です。
しかし、会社側としては育ててきた人材が辞めてしまうことは大きな損失ですので、引きとめようとしたりすることもあります。
そこで会社と労働者との間でトラブルが起こらないように、退職に関するルールが法律で定められています。
雇用形態を見直す
退職や転職は「職業選択の自由」として、日本国憲法で保障されている労働者の権利なので、会社に退職を止める権利はありません。
しかし、即日退職されると会社も困りますので、退職の方法や条件などが、民法や労働基準法といった法律によって定められています。
民法では「2週間前に雇用の解約を申し出ればいつでも解約できる」と規定されていますが、これは雇用期間の定めのない雇用契約の場合のみ適用されるルールです。
契約社員など契約期間の定めがある場合、法律上「原則中途解約はできない」とされています。
雇用期間に定めのない雇用契約のうち、年俸制の場合にも「2週間前の解約」はできません。
民法上「6カ月以上の期間によって報酬を定めた場合、解約の申し出は3カ月前に行わなければならない」と定められています。
このように、退職の告知に期間的ルールが法律で定められているので、退職を考えたときには、自分の雇用形態がどういったものなのかをまず確認しましょう。
退職届の有効法的効力
退職をする場合、必要になるのは「退職の意思表示」を行うことです。
退職届を出しても受理してもらえないこともあるかもしれませんが、退職は労働者の自由意思で決定できる権利。
退職届は受理されることに法律的な意味はなく、退職の意志表示をするだけで、退職することは可能なのです。
しかし、退職を伝える際に口頭のみで退職の意思を伝えた場合、のちに「言った、言わない」のトラブルになる可能性があるので、証拠が残る形で伝えるようにしましょう。
例えば内容証明郵便などを利用し、退職届を出すといいでしょう。
退職届は会社の代表者や人事権のある人に、届いた時点で効力が発生し、撤回することはできません。
退職届を出す際は、退職の意思がしっかり固まってから出すようにしましょう。
退職理由の説明義務
労働者が退職するにあたり、会社に対する退職理由を申告する義務は、労働基準法上まったくありません。
会社に伝えるのは「一身上の都合により」という一言だけで十分なのです。
労働基準法には会社側に、解雇理由の記載を含む解雇証明書を出す義務を負わせていますが、労働者に対しては、雇用期間の定めのない雇用契約の解約は、いつでも申し入れすることができると定められているだけで、解約理由については問われていないので、説明義務はないといえます。
退職理由の整理
会社に退職を届出るときに、詳しい理由を告げる必要はありません。
しかし、退職後の進路を考える上でも、退職理由は整理しておくことをおすすめします。
突発的に勢いで会社を辞めてしまっては、次の就職先を探すときの基準が曖昧でなかなか見つけられなかったり、次の就職先がみつかっても同じような理由でまた退職してしまったりするかもしれません。
そうならないためにも、現状をしっかり冷静に分析しておきましょう。
退職を分析
会社を辞めたいと思った原因はいろいろあるはずです。
退職理由をまず本音で書き出してみましょう。
例えば「人間関係がうまくいかない」「残業が多い」「上司からパワハラを受けている」「給料が低い」など、会社に対する不満や、「病気の家族の介護のため」「夫の転勤」「育児」など家族の事情などが退職を考えた理由としてあげられます。
ほかには結婚や出産を機に寿退社ということもあるでしょう。
思いつくままにA4用紙いっぱいに書いてみましょう。
書けたらその理由を一つずつ「辞めてもいい理由」と「もう一度考え直す理由」とに分けてみます。
体調不良やパワハラ、セクハラなどは「辞めてもいい理由」といえるでしょう。
働きたくない、労働環境が悪い、人間関係がよくないなどの理由は「もう一度考え直す理由」となります。
労働環境や人間関係は、部署の異動や会社の制度によって状況が変わり、改善することも期待できます。
退職してしまってから後悔しないためにも、退職の意思を会社に告げる前に、もう一度退職理由を分析してみましょう。
退職以外の道の検討
退職理由を分析した結果「もう一度考え直す理由」がいくつか含まれているはずです。
その中で、部署異動や会社の制度が変わることで、改善され働きやすくなれば退職の必要がなくなるものはないでしょうか。
そういった理由があるのであれば、退職する前に一度会社に改善して欲しい旨を伝えたり、相談してみたりするのもいいでしょう。
また、体調不良など療養期間をもらい復帰できるのであれば相談すべきです。
退職だけが解決の方法ではないはずなので、まずは仕事を続けることを前提に退職以外の道を検討してみてください。
退職時期を計画する
退職の意思が固まったらすぐにでも、会社に届け出て辞めてしまいたいと思うところですが、退職する前に転職のための準備をしておくことをおすすめします。
退職後の進路については、考えておくと転職活動がしやすくなります。
退職後の進路を整理する
退職理由はさまざまあり、「給料を上げたい」「キャリアアップしたい」など前向きな転職理由も多くあるでしょう。
将来性を求め、キャリアチェンジのため資格取得を目指したり、独立して企業したりするのもいいです。
現在の仕事に不満を抱いて退職を決意した場合、次の仕事には特にやりがいを求めるでしょう。
自分の求める通りの転職をするためにも、退職後の進路はしっかり考えておきたいです。
退職後、資格取得をするため職業訓練校に通ったり、地元へのUターン就職をしたり、今後の人生を考えるいい機会ではないでしょうか。
転職先に困ったら転職エージェントを利用することも検討してみましょう。
再就職の時期の計画
退職するには、転職のことも考える必要があります。
新卒の新入社員と同じタイミングで研修することができる4月入社に向けて、2月3月は求人が増え、転職しやすい時期といえます。
また9月も下半期スタートに向けて、企業は人員の補充のために求人を出すので、転職しやすい時期といえます。
次の仕事のことを考えると、こういった転職しやすい時期に就職活動ができるように、退職する時期を計画することも大切です。
また、転職理由によってはキャリアアップのため資格取得を目指す人もいるでしょう。
職業訓練を利用して資格を取ろうと思った場合、資格取得のための時間が必要です。
職業訓練校を修了した上での就職ということになり、再就職の時期は先になります。
資格取得にかかる時間も考え計画を立てましょう。
失業保険について確認する
失業保険とは正式に「基本手当」といって、会社を退職したあと転職先が決まるまで、失業中の生活費を心配せず、就職活動に専念するために給付される給付金です。
退職したあとで困らないように、前もって失業保険の受給資格があるかどうかを確認しておくことをおすすめします。
失業保険を受給するためには、二つ条件があります。
一つ目は雇用保険の加入期間です。
退職した日からさかのぼって、2年間のうちに雇用保険の被保険者であった期間が、通算して12カ月以上あることです。
雇用保険の加入条件を満たしていれば、正社員に限らず契約社員やパート・アルバイトでも加入することができ、雇用保険料を支払っていれば受給資格はあります。
二つ目は、本人に働く意志と能力があることです。
積極的に求職活動をしているのに、転職先がなかなか見つからないという人にだけ失業保険は給付されます。
独立を目指して退職した場合、積極的に求職活動を行うことはないかもしれません。
以前は独立して「自営を開始または、自営の準備をする人」は、失業保険の給付対象外でした。
しかし、現在は方針が変更され、自営準備をしていても給付対象になります。
ただ、並行して求職活動をしていることが給付条件なので、起業準備と同時にハローワークで求職活動を行うことを忘れないようにしましょう。
無給状態がないように退職日を計画
失業保険の給付は会社都合による退職の場合、待機期間後すぐに給付が開始され、およそ1カ月分が約1カ月後にまとめて振り込まれるので、実際にお金がもらえるまでは約1カ月かかります。
退職理由が会社都合の場合は給付制限はありませんが、自己都合による退職の場合3カ月の給付制限がつき、実際にお金がもらえるのはさらに先で約4カ月かかることに。
失業給付は1カ月ごとに失業認定を受け、およそ1カ月分の失業保険がまとめて振り込まれるので、失業保険の受給資格認定を得てから、実際にお金が振り込まれるまで期間があいてしまうのです。
会社都合では約1カ月、自己都合では約4カ月かかり、その間無給状態になりますので、退職日はしっかりと計画を立てることをおすすめします。
退職願い、退職届の書き方
退職の意思が固まったら、まずは会社に退職の意思を伝える必要があります。
法律上、退職の意思を伝える伝え方にも特に決まりはありません。
退職の意思は口頭で伝えるだけでも有効です。
しかし口頭で伝えるだけではあとになって、勘違いや「言った、言わない」などトラブルを招く恐れがあります。
退職の意思を明確に伝え、トラブルを避けるためにも文書にして届け出たほうがいいでしょう。
退職願と退職届の違い
退職の意思を示す書類には、「退職願」と「退職届」という2種類があります。
「退職願」は労働契約の解約を願い出る書類で、会社に退職を願い出て、承諾を得られれば退職となります。
そのため、退職願を提出しただけでは退職することはできません。
また、労働者の退職願を会社が承諾するまでは、撤回することができます。
「退職届」は会社に退職の意思が承諾されたあと、退職することを届け出るときに提出する書類です。
退職届は会社への明確な意思表示となり、受理された時点で退職となるため、撤回することはできません。
また退職願や退職届の書き方については、会社によって決まった書式がなければ、インターネットなどにあるテンプレートを使用して作成すると簡単にできるのでおすすめです。
退職願の書き方
会社にはそれぞれ、退職に関するルールが決められています。
届け出をする前にまず、就業規則をしっかり確認して期日を守って届け出るようにしましょう。
退職願は「退職を会社に願い出るための書類」です。
提出後承認されるまでに時間がかかることもあるので、転職などのことも考えて余裕を持って出すようにしてください。
まず用意するものは、B5かA4の白い便せんで、ビジネス用のシンプルなものがいいでしょう。
手書きでも、パソコンでもどちらでも大丈夫です。
縦書きが一般的ですが、横書きでもマナー違反ではありません。
内容は「文の導入・退職理由・退職日・文末表現・所属・氏名・宛名」の順で書きます。
文の導入
本文の1行目、一番下に「私議」もしくは「私事」と書きます。
「わたくしごとではありますが」という意味です。
退職理由
例:一身上の都合により
退職理由は詳細を伝える必要はないので、「一身上の都合」で大丈夫ですが、詳細を伝えても問題ないと判断できればそれを書いてもかまいません。
退職理由の例文として「家族の介護が必要になり、仕事を続けていくことが困難になったため」「結婚に伴い」などが考えられます。
退職日
退職を希望する年月日を記入します。
和暦でも西暦でも指定がなければどちらでも大丈夫です。
文末表現
「退職いたしたく、お願い申し上げます。」など願い出るような表現にしましょう。
所属・氏名
行の下の方に正式な所属部署名と、名前はフルネームで書きます。
宛名
会社の最高責任者宛に書きましょう。
正式な会社名・部署名・役職名とフルネームで、敬称は「殿」か「様」にします。
退職届の書き方
退職届は「退職が確定したのち、会社に退職を届出るための書類」です。
書き方は退職願とほぼ同じで大丈夫ですが、文末表現はお願いではなく、退職が確定しているので「退職致します」と断定的な言いかたで書きましょう。
また退職理由は自己都合の場合は「一身上の都合により」で大丈夫ですが、会社都合の場合は、例文「事業縮小のため」「退職勧奨に伴い」など具体的に書くようにしましょう。
辞める会社への退職理由の伝え方
退職の意思が固まったら、会社に退職を伝えなくてはなりません。
その際の伝え方には注意したほうがいいでしょう。
退職理由は職場の人間関係だったり、上司との折り合いが悪かったり、労働条件が合わなかったりと、不満を含んだ理由が多いはずです。
しかし、本音をそのまま伝えてしまっては、トラブルの元となりかねませんので、伝え方には十分注意が必要です。
退職理由をありのまま伝える必要はない
労働基準法には、期間の定めのない雇用契約では当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができると定めており、解約理由は問われていません。
そのため、労働者が会社に対して、退職理由の詳細を伝える必要はないのです。
また、退職理由の多くは会社や上司などに対する不満であり、本音をそのまま伝えることは得策ではないので、言わないほうがいいでしょう。
円満退社するためには、ネガティブな本音はそのまま伝えず、表向きの方針として建前が必要になります。
もし、退職理由を聞かれたら、相手に納得してもらえるような正当性のある退職理由を、説明できるように前もって考えておくといいでしょう。
明確な退職意思を示して伝える
退職理由については法律上詳細を伝える必要がないとはいえ、退職の意思を示せば退職理由を聞かれることが多いはずです。
本音のネガティブな退職理由を伝えると、例えば職場環境に対する不満などであれば「改善する」とか希望部署へ異動する」など引き止めに合うかもしれません。
会社としても今まで育ててきた人材ですので、簡単に手放すわけにはいかないので、引き止めようとしてくることもあります。
引き止める余地があると思われないためにも、しっかりと退職の決意が固まってから上司に伝えるようにしましょう。
履歴書での退職理由の伝え方
退職すると次の転職先を探す人が多いでしょう。
就職活動をする際に必要になるのが履歴書です。
履歴書や職務経歴書には必ず退職理由を書く必要があります。
その際に不利にならない書き方をみていきましょう。
不利になる情報を詳しく書く必要はない
退職する理由の多くにある、人間関係や職場環境に対する不満や、会社の方針に対する批判、仕事内容、給料についてなどはネガティブな印象を与え、本音をそのまま伝えると転職にも不利に働いてしまいます。
退職を会社に伝えたのと同様に、履歴書に記載する退職理由は「一身上の都合」で大丈夫です。
前の会社に対する不平や不満は印象が悪いだけでなく、同じ理由でまた辞めるのではないかという不安要素にもなってしまい、面接時に不利になり書類選考で落ちてしまう可能性もあります。
そのため、退職理由は詳しく書く必要はありません。
退職理由は統一して記載
履歴書や職務経歴書に必ず「職歴」を記載します。
履歴書は内定後人事情報として保管する書類であり、職務経歴書は書類選考の資料として使われる書類です。
履歴書も職務経歴書も書く内容は似ていますが、職務経歴書のほうにはより詳しく「職務要約」「経歴」「志望動機」「自己PR」などを記載します。
その際、履歴書と職務経歴書で、前職の退職理由を統一して記載しておくようにしましょう。
特に退職理由はネガティブなものが多く、転職する際にアピール材料になるものでない限り、詳細は記載しないほうが得策です。
自己都合での退職なら「一身上の都合により」、家庭の事情による退職なら「結婚に伴い」、職歴に長期間のブランクがあるときは「病気療養のため」などと簡潔に書くといいでしょう。
面接での退職理由の伝え方
面接で面接官に退職理由を聞かれたら、本音を言ってしまうと印象が悪いからと嘘の理由を伝えることは決してしてはいけません。
嘘にならないようにネガティブな理由も伝え方を変えてポジティブに伝えるようにしましょう。
退職理由を自分から言う必要はない
面接時に必ず聞かれるのは志望動機や転職理由で、退職理由は聞かれることもありますが、必ず聞かれるものではありません。
退職理由は聞かれない限り自分から言う必要はないものです。
転職に有利に働くような理由であればアピールポイントとして、伝えてもいいかもしれませんが、その場合は転職理由や志望動機といった形で話した方が伝えやすいです。
ポジティブに変換して伝える
面接で退職理由を伝えるときのポイントは3つです。
一つ目は「前向きな話で終わらせる」という点。
退職理由の多くはネガティブな印象を与えやすく、そのまま話を終わらせると印象が悪いままになってしまいます。
そこで、入社後の前向きな話や志望動機につながるようにまとめると意欲の高さをアピールでき、不平不満が多くすぐに辞めてしまうかもしれないという不安を払拭できます。
二つ目は受け身や批判の言葉を使わないということです。
受け身な言葉は人任せな印象を与え、問題が起きたときに人のせいにしたり、批判的な言葉は入社後も同じような不満を口にしたりするのではないかと思われて不利になります。
三つ目は表情やしぐさ、話し方です。
面接官の目をしっかり見て、ハキハキと話すことはとても重要で、「一緒に働きたい」「周囲の社員といい関係を築いていけそう」という好印象を持ってもらいやすくなります。
退職理由=ネガティブなイメージを払拭することが大事
退職というとネガティブなイメージを持ちやすいですが、どんな理由であれ辞めたいという思いを抱えたまま、仕事を続けていくことは難しいはずです。
そこで、退職の決意が固まったら、まずは退職に対するネガティブなイメージは捨てて、自分自信の中にある退職のイメージをポジティブに換えることから始めてください。
そうすることで現状の不満を冷静に見つめ、解消するためには何が必要かを分析し、それを活かしてどのように働きたいかを探すことで、円満退社するための退職理由が見つかり、転職活動へとつながるでしょう。