UKANO家計のクリニック

年収300万円以下は日本にどのくらいいるのか。割合と生活水準とは

年収300万円以下の割合は

悩みを打ち明けられる友達でも、なかなか聞けないのがお財布事情。
30代に入ってもなかなか年収が伸びない、と収入の少なさに、頭を悩ませる女性も少なくないでしょう。

年収300万円以下の女性はどのくらいいるのでしょうか。
その割合はどの程度なのでしょうか。
男女別の割合や、年収300万円以下のの生活水準とは。
人には聞けないお財布事情を探っていきましょう。

年収300万円以下の人口割合

年収300万円以下の人は、どのくらいいるのでしょうか。
男女別、年収別に、人口の割合を見ていきましょう。

年収300万円以下の人は40%

平成27年国税庁の民間給与実態統計調査結果によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は420万円となっており、男性で521万円、女性で276万円となっています。

そのうちの年収別の割合を見た場合、年収300万円以下の人の割合は以下のようになっています。

●年収100万円以下:8.6%
●年収100万円以上200万円以下:15.0%
●年収200万円以上300万円以下:16.3%
出典:国税庁https://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2015/pdf/000.pdf
この全ての数字を足すと、39.9%となり、約40%の人が年収300万円以下の生活を送っていることになります。
働き世代の人を10人集めたら、そのうち4人は、年収300万円以下であるということです。

男性の割合は23.1%

では、男性ではどのくらい、年収300万円以下で生活をしているのでしょうか。
その割合は、以下の通りになります。

●年収100万円以下:3.1%
●年収100万円以上200万円以下:7.3%
●年収200万円以上300万円以下:12.7%
この全ての数字を足すと、23.1%。
約23%の人が、年収300万円以下で生活をしていることになります。

男性の正規雇用の年収は、539万円、非正規雇用の年収は、226万円(平成27年国税庁の民間給与実態統計調査結果より)。
契約社員や派遣社員など、非正規雇用で働く男性の層が、年収300万円以下の割合に反映されているといえます。

女性の割合は64%

では、年収300万円以下の女性の割合はどのくらいでしょうか。

●年収100万円以下:16.5%
●年収100万円以上200万円以下:26.1%
●年収200万円以上300万円以下:21.4%
すべての数字を足すと64%。
64%の女性が、年収300万円以下で働いています。
男性と比べると、大幅に割合が高くなることが、わかります。

原因の一つは、女性が役職に就きにくく、昇進しにくいこと。
20代30代は、女性の妊娠・出産の適齢期。
女性は結婚や妊娠・出産で退社をする場合も多く、会社としても重要なポストに就かせられないという事情があります。
長年勤めていても、重要なポストに就けないことで、女性の年収が伸び悩むことにつながっています。

もう一つの要因は、非正規雇用の就職機会が多いことも挙げられます。
一旦退職して、妊娠・出産をして、いざ仕事に復帰しようとしても、育児しながら仕事と家庭を両立するには、パートやアルバイトといった非正規雇用での就職が多くなります。

女性の正規雇用の年収は367万円、非正規雇用の年収は147万円(平成27年国税庁の民間給与実態統計調査結果より)。
非正規雇用で働く女性の層が、年収300万円以下の割合に、大きく反映されているといえるでしょう。

年収200万円以下は23.6%

では、年収200万円以下で働く人たちの割合を詳しく見ていきましょう。

●年収100万円以下:8.6%(男性3.1%、女性16.5%)
●年収100万円以上200万円以下:15.0%(男性7.3%、女性26.1%)
この数字を足してみると、23.6%。
年収200万円以下といえば、
低所得者に分類されますが、約24%の人がその層に分類されます。
男女別に見ると、男性が10.4%、女性が42.6%。
圧倒的に女性の割合が高くなっています。

年収100万円以下は8.6%

では、年収100万以下の人は、どのくらいの割合でいるのでしょうか。

●年収100万円以下:8.6%(男性3.1%、女性16.5%)
年収100万以下は8.6%。
男性で3.1%、女性で16.5%。
約16%の女性が年収100万円以下で働いている理由は、パートやアルバイトの非正規雇用で働く女性が多いことに加え、配偶者の扶養控除103万円の制限の中で働こうとする女性の層があるからだといえます。

年収300万円以下の生活水準

では、年収300万円以下の生活とは、どのようなものなのでしょうか。
生活水準を見ていきましょう。

家賃の目安は4~5万円

年収が300万円ということは、手取りの収入は、300万円より低くなります。
実際受け取る額を計算するには、年収×80%。
厚生年金、健康保険、税金など引かれて、ボーナスを含まない場合、20万-25万が手取りの収入の目安となります。

月々の収入が20万として、どのようにやりくりしていけばよいのでしょうか。
やりくりの方法として、家賃を抑える方法があります。
家賃を4-5万円ほどで押さえると、貯蓄もできて少し余裕がでるでしょう。

家賃以外の出費例として、光熱費に15,000円、食費に30,000円、通信費に10,000円、雑費に20,000円、小遣いに20,000円。
月々95,000円。
そこに50,000円の家賃を足しても、月々145,000円の出費で抑えられます。
手取りの20万円から差し引いて、残りの55,000円は、貯蓄に回すことができるでしょう。

住宅ローンの目安は返済負担率20-30%

年収300万円以下の人は、住居のために賃貸を借り続けなければならないかというと、そうでもありません。
家やマンションを購入することもできます。
貯蓄がない場合、住宅ローンを組むことになりますが、銀行でローンを組む場合でも、年収による制限は特にありません。

ただ、住宅ローンなど借り入れをする場合、借入額は、返済負担率を基準に決められます。
返済負担率とは、
年収に対する年間返済額を割合で表したものです。
銀行によってもこの返済負担率は様々ですが、年収が300万円の人ですと、返済負担率は20%-30%が目安です。

●年収300万円×20%=60万円
●年収300万円×30%=90万円
返済負担率が20%の場合、返済額は、年間60万円で、月々50,000円。
返済負担率が30%の場合、返済額は、年間90万円、月々75,000円。
返済額が月々50,000円-75,000円ですと、月々の家賃とほぼ同額ですから、月々の返済もそれほど無理なくできるでしょう。
年収300万円以下の人でも、ローンを組んで住居を購入することはできますが、返済負担率を考慮して返済計画を立て、無理のない返済方法を考えましょう。

生活費は節約が基本

年収300万円以下の人の生活は、節約が基本。
家計を楽にする一番の方法は、家賃を減らすことですが、それでも苦しい場合は、食費に注目しましょう。

毎日摂る食事は、節約はできても削ることはできません。
食費を抑えたいなら、極力自炊でまかなうことです。
ついつい外食で済ませてしまいがちな昼食を、お弁当に変える、コンビニで買ってしまう夕食や夜食を、自炊に変える、これだけのことで、食費は大分抑えられるでしょう。

また、外食やコンビニの食事は手軽に取れて便利ですが、栄養のバランスの面では、あまり優れているとはいえません。
栄養のある食事をしよう思うと、思わずお金もかかってしまうので、やはり食事は自炊を中心にして、食費を減らすよう努力しましょう。

収入に対する税金をよく知る

年収103万円以下なら配偶者控除が受けられるという時代は終わり、2018年1月より新たな配偶者控除の制度が始まりました。
配偶者控除の対象は、103万円超から150万円超に引き上げられ、昔から言われていた「103万円の壁」は撤廃されたかに見えますが、そう簡単にはいかないようです。

収入が100万円(自治体による)を超えると住民税。
103万円を超えると所得税。
130万円を超えると健康保険・厚生年金(従業員が500人を超える企業のパート主婦は106万円)。
収入が増えるごとに、それぞれ課税されてきます。
これが今は「パート収入の壁」と呼ばれています。

収入が増えても同時に税金支払いも増えるのでは、本末転倒です。
収入に対する税金をよく知りながら、働き方を調整する必要がありそうです。

結婚後も共働きがベスト

年収300万円以下で結婚してパートナーと生活を送っていけるのか不安という人は、少なくないようです。
パートナーが年収300万円以下の収入でも、結婚をして二人で生活をしていくのは可能です。
しかし、一人の収入に頼るのは、決して安定した生活になるとはいえません。

結婚して生活をする過程には、妊娠・出産や、病気など、急な出費も予想されます。
働けるうちに働いて、少しでも貯蓄を増やしておくことが大事です。
共働きで、少しずつ貯蓄を増やしながら、ライフスタイルにあった生活を心がけましょう。

生活安定のために年収アップを目指そう

年収300万円以下で生活する人は40%。
中でも女性の割合は64%と、大多数。
女性が役職に就きにくく、昇進しにくいことと、非正規雇用の就職機会が多いことが原因です。

年収300万円以下の収入でも、家賃や食費を抑えれば、貯金ができる程度には余裕があります。
少しずつ貯蓄をしながら、
将来の安定した生活のために、年収アップを目指していきましょう。