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ボーナスにかかる税金の計算方法
「税金が引かれなければ全部好きなものが買えるのに…」などと感じたことはありませんか?ボーナスをもらえるのは楽しみだけれど、その分税金が引かれてしまうのがネック。
いったい税金はどう計算されて引かれているのか気になることもあるでしょう。
いつも仕事を頑張っている証にボーナスが支払われますが、理由も分からず税金が引かれてしまうのは、やはり納得がいきません。
税金が引かれる理由や計算方法を知り、今後ボーナスでどれくらい税金が引かれるのか、自分で計算し予測を立て、有意義にボーナスを使えるように心がけてみてはいかがでしょう?
ボーナスと税金について
ボーナスから税金が多く引かれているように感じてしまいがちですが、引かれる明確な理由があります。
納得してボーナスをもらうためにも、振り返ってみましょう。
ボーナスは給与所得のひとつ
税金を支払う上で、ボーナスは企業の中で賞与扱いされています。
年に一度、あるいは2度の企業の決算で、企業の純利益から支給されるもの、また支給額が定められていないものが賞与扱いとなります。
ですが、所得税法でボーナスも給与として扱われることになります。
したがって、年間の給与とボーナス額が合算され、所得税が引かれていくのです。
税金が引かれ始めたのはいつから?
2003年前までは、賞与として扱われていたため税金は引かれていませんでした。
ですが、2003年4月ボーナスからも税金が引かれる、総報酬制という制度に変わりました。
なぜそのような制度ができたのかというと、不公平感をなくすため。
例えば、給与が低くボーナスが高い、あるいは、ボーナスが低くて給与が高めの場合、前者の方が徴収される税金が少ないため公平ではないという理由からだそう。
2003年前は、給与だけに社会保険料を含む税金をかけるとされていましたが、総報酬制になった現在は、ボーナスを含む年間所得に税金をかけるとされています。
ボーナスで引かれる税金は、社会保険、雇用保険、源泉徴収税となります。
手取りはだいたいいくらになる?
税金が引かれる正当な理由がわかったら、いくら引かれるのか気になるもの。
しっかり自分で計算できるように、さらに細かく内容を確認してみましょう。
額面から引かれるのは社会保険料と源泉所得税
ボーナスにかかる税金は「ボーナス額に対して一定の割合で固定で引かれる社会保険」と「前月の給与支給額からの源泉徴収額」を合計したものとなります。
固定で引かれるものは、社会保険、厚生年金、雇用保険、住民税など。
源泉徴収額は前月の給与支払額に該当する率が決められています。
単身、扶養家族の人数によって税率が変わってきます。
だいたい額面の20%前後引かれると考える
ボーナス支給額から引かれる税金は、額面の20%前後の目安で引かれると考えられています。
上記でご紹介した、ボーナスから一定の割合で固定で引かれるものを?、前月の給与支給額に源泉徴収額をかけたものを?とします。
ここで引かれる税金の計算パターンは、標準賞与額-(社会保険+?源泉徴収額)=手取りボーナス額となります。
さらに、40歳以上の場合に加入する介護保険料、企業の組合費なども引かれます。
ここで、どの割合の税収なのかチェックしてみましょう。
(扶養家族なしの場合)
ボーナス額面から一定の割合で固定で引かれる社会保険
・健康保険料 額面の4.1%
・厚生年金 額面の7.144%
・雇用保険 額面の0.6%
前月給与支給額の源泉徴収額
・68,000~79,000円 2%
・79,000~252,000円 4%
・252,000~300,000円 6%
・300,000~334,000円 8%
・334,000~363,000円 10%
・363,000~395,000円 12%
・395,000~426,000円 14%
引かれる金額のうち個人差が出やすいのは?
よく「残業すると税金が上がる」といわれることがありますが、これは所得税の税率が関係してきます。
扶養家族の人数も変わってきますが、源泉徴収額は前月の給与支給額の利率で決められるので、前月に残業を沢山したり、あるいは企業の制度で就業時間が短縮されている人は、所得税も違ってきます。
なので、ボーナスで引かれる税金に個人差が出てくるといえるでしょう。
夏と冬で税金の額が変わる場合もある
そもそもボーナスは、企業の利益により支払い額が決められたり、また企業内でボーナス査定を設けていれば、その評価によって決められています。
なので、業種や仕事のパフォーマンスなどで企業にとって業績が上がる時期などが異なれば、夏と冬でボーナス自体に支給額の差が出て、その分税金も変わってくるといえるでしょう。
また年末調整のために、冬のボーナスが夏より若干高めになっているという理由もあるそう。
源泉所得税の計算方法とは
源泉所得税は所得税の一種ですが、月々に引かれる所得税と違うよう。
前月の給与や扶養家族により違ってきます。
ボーナス時の所得税がどんなものか見ていきましょう。
扶養家族人数と前月の給与が関連
月々の給与から引かれる所得税は、自分で払うという位置づけで引かれるもの。
ですが、ボーナスから引かれる源泉所得税の場合、ボーナスを支払う側があらかじめ徴収額を算出し、国に収めるという税金になります。
国税庁で出されている「賞与に対する源泉徴収額の算出率の表」にて、前月の給与の税率をボーナスに乗せて算出します。
このために必要なものが、扶養家族の人数と前月の給与明細です。
前月給与は、社会保険料が控除されている金額。
扶養家族は16歳以上、または103万円以下の年収などを考慮し、上記の「賞与に対する源泉徴収額の算出率の表」で人数に対する税率が、すでに決められています。
具体的な計算方法
ここで、具体的な計算方法をチェックしてみましょう。
ボーナスからの源泉所得税は、社会保険料を引いたボーナスに扶養家族の人数と、前月の給与の税率をかけた計算になります。
例えば、ボーナスが50万円、前月の給与が30万円。
扶養家族が1人の場合を見ていきましょう。
給与は社会保険料が既に差し引かれているものとみなします。
500,000(ボーナス)×6.126%(扶養家族1人・前月給料30万円の税率)=30,630円(源泉所得税)
よって、ボーナスから引かれる源泉所得税は30,630円となります。
社会保険料には4種類あり計算方法も違う
ボーナスから社会保険料が引かれてしまえば、かなりの痛手。
自動的に引かれ、ついつい内容を確認しないことがありますが、しっかり管理するためにも細かく確認しておきましょう。
基本的には額面の1,000円未満切り捨てで計算
一般的な計算の仕方で、ボーナスから保険料を差し引く際の税率は、標準賞与額からの税率として差し引かれます。
社会保険料は、健康保険、厚生年金、雇用保険、また40歳以上が加入条件となる介護保険があります。
介護保険は健康保険に含まれる場合が多いです。
ボーナスの額面から1,000未満を切り捨ててそれぞれに税率をかけますが、雇用保険は1,000円未満切り捨ては適用になりません。
このボーナスにかかる社会保険料は、各都道府県によって税率が違ってきます。
健康保険料の計算方法
一般企業の健康保険料は、全国健康保険協会(協会けんぽ)によって運営されています。
協会けんぽが発表している健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料の税率表記は、1,000円未満切り捨ての記載となっています。
都道府県によって保険料の税率が違ってきますが、仮に東京都の一般企業に勤めている、20代で扶養家族無しの、ボーナス支給が40万円の場合を見ていきましょう。
税率は毎年改定さますので、平成30年の税率で計算しています。
標準賞与額×健康保険料税率÷労使折半=健康保険料
5万円×9.90%(東京都)÷2=24,750円
健康保険料は、企業の大半が労使折半となっているため2分の1折半になっています。
上記の例で大阪の場合、税率が10.13%となるため、気域によって異なることがよく分かります。
厚生年金保険料の計算
こちらの保険料も、ボーナスの1,000未満切り捨てとなります。
厚生年金保険料の税率は毎年改定されてきましたが、平成29年9月から税率が引き上げが終了となり、現在は18.3%に固定されています。
一般企業では折半にしているところが多いので、今回も折半を含めた計算となります。
今回は30代で扶養家族2人、ボーナス50万円の厚生年金保険料を見ていきましょう。
標準賞与額×厚生年金税率÷労使折半=厚生年金保険料となりますので
50万円×18.3%÷2=45,750円
雇用保険料の計算方法
この税率も定期的に見直しがされていますが、平成30年は前年度と同じで0.3%。
雇用保険料は労使折半が発生しませんので、ボーナス額面に直接税率をかける形となります。
一般事業者ならば、税率は0.3%。
上記の例、30代の扶養家族2人、ボーナス50万円で見ていきましょう。
ボーナス額面×雇用保険税率=雇用保険料
50万円×0.3%=1,500円
介護保険料の計算方法
全国健康保険協会によると、介護保険料は40~65歳までの加入は「介護保険第2号被保険者に該当」となります。
加入条件は、例えば5月1日に40歳になる場合、誕生日の前日を含む月から徴収するので、4月の給与分から介護保険料が引かれます。
ボーナス支給がある場合は、月々の給与とボーナス額面を足した金額から徴収します。
こちらも企業と折半。
介護保険税率は毎年改訂されています。
今回も引き続き30代の扶養家族2人、ボーナス50万円、月収30万円とし、税率が平成30年3月分からの計算を確認してみましょう。
(標準賞与額+標準報酬月額)×介護保険税率÷労使折半=介護保険料
(50万円+30万円)×1.57%÷2=6,280円
税金の額からボーナスの額面を逆算することも可能
このような計算は一般的とはいえませんが、税金の額からボーナス額面を出す場合、月々の所得税に対して年収から控除をされている金額で割り出したり、大手企業なら給与の2.5カ月、中小企業なら1カ月分とされていますので、あらかじめ考慮して計算してみてもよいのかも。
手取りの計算例
ボーナスから税金が引かれれば、手取りはいくらになるのか気になるところ。
ボーナスは年齢や、扶養家族によっても違います。
自分のボーナス手取り額を計算できれば、もっと計画的に使えそう。
ボーナス30万の配偶者がいない20代女性
20代の平均年収は、およそ248万円といわれています。
入社して間もない20代なら、まだボーナスが少な目といえるでしょう。
今後、賢く管理するためにもここできっちり計算方法を習得しましょう。
例として、月々の給与、社会保険料控除額給20万円とし、健康保険料は東京都の税率となります。
介護保険料と扶養家族分は負担しません。
・社会保険料 30万×9.90%÷2=14,850円
・厚生年金料 30万×18.3%÷2=27,450円
・雇用保険料 30万×0.3%=900円
これらの合計額 43,200円
・源泉所得税 30万円-43,200円=25万6,800円
25万6,800円×4.084%=10,487円
社会保険料+源泉所得税=53,702円 ボーナス額面300,000円-53,702円=246,298円 よって手取り額は246,298円となります。
ボーナス50万の配偶者がいる30代女性
夫の月収30万でボーナスが50万円。
妻の収入が103万円以下で、配偶者控除が適用されている場合を見ていきましょう。
平成30年から配偶者控除が変更され、妻の給与所得として103万円以下の収入に該当する場合に配偶者控除が適用されます。
妻の年間の合計収入が38万円を超えた際の、特別配偶者控除もありますが、夫の年間収入が1,000万円以上の場合適用されません。
配偶者控除は、103万円までの収入なら控除額は38万円となります。
徴収する税率が5~45%となりますので、仮に20%税率がかけられてるとしましょう。
38万×20%=76,000円
夫の所得から76,000円の所得税が控除されているということなので、どちらかの収入に大きな変化がなければ、ボーナスの税収に特別変化はありません。
夫が介護保険加入、妻と子供(3歳未満)がおり、扶養家族1人になっている場合を見てみましょう。
東京都の税率です。
・社会保険料 50万×9.90%÷2=24,750円
・厚生年金料 50万×18.3%÷2=45,750円
・介護保険料 (50万+30万)×1.57%÷2=6,280円
・雇用保険料 50万×0.3%=1,500円
これらの合計額 78,280円
・源泉所得税 50万円-78,280円=42万1,720円
42万1,720円×4.084%=17,223円
社会保険料+源泉所得税=95,503円 ボーナス額面50万円-95,503円=40万4,497円 よって手取り額は40万4,497円となります。
自動計算サイトも使ってみよう
自分で計算するのが面倒なら、インターネット上で自動計算サイトを試してみてもよいでしょう。
ですが、一部のサイトは、毎年改定される税率が変動されていないのもあるので注意が必要です。
やはり、自分で税率などをチェックしながら計算したほうが間違いないといえるでしょう。
一般的な社員以外はどうなる?
正社員として企業に勤めていれば、ほぼボーナスが支給されることが多いですが、役員やパートなどはそれぞれ対応が違うことがあります。
計算方法がかわることも
ボーナスは基本的に正社員に支払われますので、本人の労働能力や扶養家族などの有無を含めた査定で決められます。
そのため、人により計算方法が違うということがいえるでしょう。
また、契約社員は契約書にボーナスについての記載があれば支給されますが、正社員と比べれば支給額は少なめです。
パートの場合は一般的にボーナス支給は無いとされているところが多いよう。
役員のボーナスに対する計算方法の違い
平成18年から、役員でもボーナスが支給されることになりましたが、役員のボーナス額は株主総会で利益処分として決定されます。
正社員のボーナスは会社の経費として処理されますが、役員のボーナスは会社の利益から出されるので法人税を払わなくてはなりません。
よって、ボーナスからの税収の計算が一般的なものとは違ってきます。
パートタイムのボーナスに対する計算方法の違い
基本的にパートやアルバイトには、契約書にボーナス支給無しと記載されているのが多いので、ボーナスはないとみたほうよいでしょう。
ですが、一時的に業績がアップし事業主から「寸志」という形で、数千円程度支給されることがあります。
この計算方法は、パート開始からの勤務日数と労働時間で決められます。
あらかじめ支給されることがわかり、支給額が気になる場合は事業主に確認してみましょう。
ボーナスから税金が引かれすぎている?
上記でご紹介した計算方法を見ても、かなり引かれてしまうことがわかりましたが、場合によってはもっと引かれてしまうこともあるようです。
源泉所得税が増える可能性がある
ボーナスの源泉徴収税は、前月給与の税率が引かますので、前月の残業代などが多ければ、その分源泉所得税が多く引かれてしまう可能性もあります。
また、妻の年収が103万円を超えると、扶養家族から抜けなければなりません。
他の事情で扶養家族の人数が減れば、おのずと徴収される金額も増えます。
しかも、通常よりボーナスが多く支給された場合、年末調整の徴収額が増えることがあるので注意が必要です。
普段の給料とボーナスの源泉所得税計算方法の違い
給与の所得税は、収入によって控除額が決められています。
給与に該当する税率をかけ、そこから税額控除額を引いたものが月々引かれる所得税。
ボーナス(標準賞与額)の源泉所得税は、ボーナス額面に前月の給与の税率が徴収されるので、前月の給与が分からなければ、標準賞与額に該当する税率を割り出すことができません。
月額にかかる所得税の計算は以下の通りです。
課税所得×税率-税額控除額=所得税
普段の給料とボーナスの社会保険料計算方法の違い
社会保険料は、一般企業で加入している全国健康保険協会の運営による健康保険の他に、厚生年金、雇用保険、介護保険が該当されます。
月々の社会保険料は、標準報酬月額にそれぞれの税率をかけ、会社と折半するというもの。
ボーナスは、介護保険以外は標準賞与額に税率をかけ会社と折半します。
介護保険は、標準報酬月額と標準報酬月額を足した金額に介護保険税率をかけ、会社と折半になります。
支払う税金を減らすことは可能なのか
少しでもボーナスから税金を減らすための対策として、源泉徴収税の税金を減らすという方法を考えてみましょう。
ボーナス時の源泉所得税は、前月の給与から差し引かれますので、前月の給与分を減らす方向で考えたほうがベター。
残業を減らす、稼働時間を押えるなどが挙げられます。
ですが、仮にボーナスの源泉徴収額が減らせても、年末調整で徴収されてしまう可能性が高いので、あまり意味がないともいえるのだそう。
前月の残業を減らしてみよう
少しでも減らす対策として、やはり残業を減らすというのが実行しやすいでしょう。
ボーナスの源泉徴収額は仮徴収なので、残業を減らした前月の手取りが少なければ、12月の年末調整で還付金として返ってくる形になります。
ただ、これで税金が少なくなるというわけでもなく、多くの金額が返ってくるものでもありません。
4月から6月に残業をしなければ収入が増える?
標準報酬月額は年に1度決められます。
その際、社会保険料も決められていくのですが、4月から6月までの3カ月の平均給与で標準報酬月額と社会保険料が決められているのです。
こうして3カ月の平均給与で決められた標準月額報酬で、9月から1年間の社会保険料の計算に該当されます。
なので、ボーナスの前月に残業を減らすことを考えるよりも、4月から6月までの3か月間は残業を減らし、社会保険料を減らせる可能性を考えたほうが特になるかもしれません。
税金の計算方法を知って家計に役立てよう
ボーナスから自動的に引かれてしまう税金を減らすというのは、なかなか難しそうです。
ですが、前もって計算し手取り額を予想できれば、計画的に使えることもあるでしょう。
思ったより手取りが少ない、思ってた以上に税金が引かれると思うこともありますが、せっかく手元にあるボーナスを有意義に使いたいもの。
欲しいものや使いたいことなどをしっかり吟味し、家計に役立つように使いましょう。