コンテンツ
退職願を書くときの決まりとは
退職願を書くときの決まりは、退職をしたい日付と退職したい旨を会社にお願いする文章を書くことです。
現代はパソコンで退職願を作成してもよい会社が増えていますが、基本は手書きで退職願を書くことが望ましいといわれています。
また、退職願を入れる封筒や書き方などにも決まりがあります。
退職願の正しい書き方とマナーやルールについて把握して退職するときに役に立てましょう。
退職願を書くときの最低限のマナー
退職願を書くときはさまざまなルールがあります。
今までお世話になった会社に退職を願い出るわけですから、社会人として最低限のマナーは必要不可欠です。
白い二重封筒を利用する
退職願は、会社との雇用契約を解約したいと願い出る重要な書類。
そのため、封筒は白色の二重封筒のものがマナーです。
領収書や簡単な書類を入れる事務的な目的で使われる茶封筒は、退職願などの大切な書類を入れるのはマナー違反です。
白無地の封筒も、郵便番号枠なしのがベストでしょう。
郵送する場合は郵便番号枠があってもよいですが、退職願は、直接手渡しするのが社会のルールとなっています。
封筒の大きさと用紙の大きさを合わせる
退職願は、A4かB5の用紙で作ることが多く、封筒の大きさも合わせて用意しておきましょう。
縦型のスリムな封筒で提出するのがマナーで、A4は長形3号、B5は長形4号の封筒が一般的です。
会社によってスリムな封筒でなくてもよいとのルールがありますが、基本は縦型のスリムな封筒が望ましいです。
退職願を完璧に仕上げても封筒選びで失敗してしまっては、社会人としてマナー違反のレッテルを貼られてしまいますので注意しましょう。
黒いボールペンか万年筆を使う
最近はパソコンで退職願を作成してもよいという会社が増えてきていますが、お世話になった会社ですから、手書きで退職願を書くのが好ましいでしょう。
ペンの決まりは特にありませんが、黒いボールペンか万年筆を使うのが一般的です。
筆ペンやサインペンで書くこともできますが、字が太くなり用紙が汚れる可能性が高く見た目もあまり美しくありません。
ボールペンや万年筆は、水性・油性どちらでもよいですが、重要な書類ですので、擦ったら消えるフリクションインクを使用しているボールペンは避けましょう。
封はしてもしなくてもOK
手書きの退職願が完成したら白色無地の二重封筒に入れます。
手渡しが一般的ですので、封をしなくても大丈夫ですが、フラップはきちんと折るのがマナーです。
郵送の場合や封筒に糊が付いているものはしっかり封をして、封筒裏とフラップにかかるように「〆」と記入しましょう。
退職願が完成したら、会社に渡す日まで折れ曲がったり、シワにならないように注意しましょう。
白色の無地の封筒は、汚れがとても目立ちやすいので、クリアファイルなどに入れてしっかり保管しておくべきです。
フォーマットがある場合は利用する
一般的には、A4かB5の便箋に手書きで書く退職願ですが、企業によって会社独自の用紙があります。
就業規則に記載している場合や上司から会社のフォーマットを使うように指示される場合もありますので確認しておきましょう。
会社独自のフォーマットがある場合、手書きで提出した退職願の書き直しや無効になることもあります。
一度上司に退職したい旨を相談して、会社独自のものがある場合は、書類を何枚かもらって記入しましょう。
このときも封筒は白色の無地の二重構造のものに入れて提出するのがマナーです。
退職願の基本的な書き方
退職願を書くときは、手書きで黒のボールペンや万年筆を使いますが、どのように退職願を書くのか基本的なルールを見ていきましょう。
横書きでも縦書きでもOK
A4かB5の便箋を使用するのが一般的で、罫線はあってもなくてもよいです。
柄のない白色でシンプルな縦書きのほうが相手にとっても見やすく好印象ですが、横書きの退職願でもマナー違反ではありません。
ですが、封筒は必ず縦型のスリムなものを使用しましょう。
ペンは、こすると消えるフリクションタイプは使わず、黒い水性または油性のボールペンか万年筆で美しく書いてくださいね。
書き出しは私儀
道具が揃ったら早速、退職願を書いていきましょう。
縦書きの場合は、用紙の右側中央に「退職願」と書きます。
本文の書き出しは、「私儀」から始まります。
これは、わたくしごとでありますがという意味があります。
退職願と書いたところから一行空けて、一番下に書くことにより、自分のことをへりくだって表現し、謙虚さを表しています。
縦書きの場合は、「私儀」を少し小さく書くことでよりへりくだった表現をすることができます。
日本人が昔から行なっている素晴らしい文章表現といえますね。
具体的な退職理由を記入
自己都合の場合は、基本的には一身上の都合という風に書きますが、妊娠や介護、遠くに引っ越すことが決まってしまってその会社で働くことが難しくなってしまった場合は、具体的な理由をしっかり書きましょう。
また、倒産や人員整理など会社都合で退職せざるをえなくなってしまった場合は、会社の諸事情によりという風に書くのがベストです。
会社にも原因があり病気や何かしらのトラブルに巻き込まれて退職しなければならなくなった場合は会社都合によって退職となるかもしれませんので確認しましょう。
退職願を書くまえにまずは上司に相談や報告をするのが社会の暗黙のルールになっている現状がありますので、しっかり会社側と相談し退職願を書くようにしていきましょう。
退職の希望日を記入
まずは上司に退職したい旨を相談し、退職希望日を伝えましょう。
上司の同意が得られたら退職願に再度退職希望日を記入して提出します。
このとき、元号でも西暦でもどちらで記入してもOKです。
会社によって退職の何日前に退職願を出すかは差がありますので、しっかり就業規則を確認しましょう。
それが円満に会社を退職できるカギとなります。
もし、上司の合意が得られずズルズルと退職を引き延ばされたりしてしまった場合は、民法627条によって2週間前に内容証明郵便で会社に提出することにより、退職することができますが、なるべく円満に済ませたい方は会社としっかり話し合いをしましょう。
宛名は最高責任者名と役職を記入
退職願には、一番最後に会社の正式名称と最高責任者の名前、役職を記入します。
株式会社であれば(株)と省略せず正式名称で書き、一行先に「代表取締役 名前 殿・様」と書くのがマナーです。
最後の敬称は、殿でも様でもどちらでも構いません。
自分の所属している部長や課長に退職の相談をしたからといって、退職願の宛名を上司の名前にしないように注意しましょう。
あくまでも、会社との雇用契約解除をお願いするのですから、代表取締役の名前を書くのがルールとなっています。
縦書きで書くときに気をつけなければいけないことは、代表取締役の名前が自分の名前より上に来るようにしなければなりません。
横書きの場合は、左端に会社名と最高責任者の名前を書き、一行空けて右下に自分の所属部署と名前を記入します。
封筒の表面には退職願と書く
白色の無地の封筒に退職願を入れたら、表の真ん中のやや上の方に退職願と書きます。
大きすぎても小さすぎても見た目が悪くなってしまうので、適度な大きさで美しく仕上げましょう。
裏面には、会社の所属部署名と自分のフルネームを左下に書きます。
筆ペンや太いマジックでは、文字が目立ちすぎてしまうため、退職願を書いたボールペンや万年筆を使用したほうが好ましいです。
退職願の理由を書く時のポイント
退職をする理由は人それぞれ。
引越しや介護、結婚などがありますが、こういった理由は退職願にはどのように書けばよいのでしょうか。
基本的には一身上の都合
いかなる理由があっても基本的には自己都合で退職する場合は、一身上の都合と書くのがルールとなっています。
一身上とは、「自分の身の上に関する事柄」という意味です。
つまり、結婚や転職、引っ越しなどは全て自分に関する都合ということです。
退職願には、一身上の都合と書きますが、上司などに退職の相談をするときは必ず理由を聞かれます。
法律的には理由をいう必要はありませんが、きちんと退職理由を伝えなければなかなか退職させてもらえないというのが現状です。
上司に相談することにより、今悩んでいる事柄が解決して、退職せず会社に残ることになる場合もありますので、まずは相談することをおすすめします。
働けなくなる場合はその理由を具体的に書く
曖昧な退職理由では会社に引きとめられてしまうこともあり、退職日が伸びたり退職の話がなくなってしまうことがあります。
女性は妊娠や結婚、親の介護などがありどうしても働けなくなってしまうということがあるかもしれません。
その場合は、細かく具体的に理由は書いてもよいルールとなっています。
ですが、残業が多くて会社が嫌になったことや給料が低いなどという理由は全て自己都合になるので一身上の都合と書くのが社会人として最低限のマナーです。
セクハラやパワハラなどを受けて、会社に何度も相談したのに全く解決していなく、耐えられなくなり退職となった場合は会社側にも責任があるので会社の諸事情により退職となる場合もあります。
病気の場合は疾病のため
社会に出ていれば、長期の入院や疾病などで会社を退職せざるをえない状況になることがあります。
こういった場合は、一身上の都合では曖昧な理由になってしまうため、会社にも理由がありそうな病気になってしまったときはしっかりと退職願に書いたほうがよいでしょう。
療養に時間がかかり再就職もなかなか難しいときに病気で自己都合退職となってしまったら、失業手当をもらうのに長い時間を要することになりますので、退職理由を疾病のため働くことが難しくなったと退職願を書いたほうが今後のためにもなります。
会社に問題がある場合は会社の諸事情
倒産になり自分の都合以外で退職を余儀なくされた場合は、退職願に「会社の諸事情のため」と書きます。
会社から「一身上の都合により」という風に書いて提出するように言われ、トラブルに発展したということもあるよう。
会社の諸事情により退職する場合は、しっかりと理由を書きましょう。
たとえば、残業代を払うように何度も申し出ているのに払ってくれないことやセクハラや嫌がらせを受け、会社に訴えても十分な対応をしてもらえず、結果シフトを外され働けなくなったという理由は会社の諸事情になることがあります。
リストラなどは人員整理のため
急なリストラや人員整理など会社都合の退職の場合は、自ら退職願は提出する必要はありません。
会社から提出するようにいわれることがありますが、しっかりと提出する理由を明確にする必要があります。
退職願は、自分が退職したいという意思表示をするものです。
なので、リストラや人員整理で退職することになり、会社に退職願を提出してしまうと「社員が辞めたいと意思表示をした」と書面によって残ってしまうため自己都合退職として処理されることがあるので注意しましょう。
退職願と退職届の違い
退職願は、会社に雇用契約解除をお願いするものですが、退職届との違いは一体どういったものなのでしょうか。
退職願は自己都合、退職届は会社都合で使い分ける
結婚や出産、引越しなどの自己都合で退職する場合は、まず退職願を提出することが好ましい印象を与えられます。
自己都合はさまざまな理由がありますが、いかなる場合も「一身上の都合」と書くことがルールですが、どうしても働くことが難しくなった場合は、退職理由を細かく書いてもよいとされています。
退職を考えはじめたときに一度、就業規則を確認して退職希望日の何日前に退職願を提出したらよいか把握しておきましょう。
退職届は、リストラや倒産など会社都合で退職となったときに提出しておくと失業手当受給の際に、もらえる時期が早まったり、受給期間が長くなります。
会社都合で退職になってしまったのに、実際には自己都合で退職になっていて大変だった、というトラブルも少なくありません。
会社都合で退職となった場合は、基本的に退職届を出す必要はないのですが、会社側から提出するようにいわれることがあります。
トラブルを避けるために、会社側に退職届を書く理由をしっかり聞きましょう。
これを踏まえて、自己都合のときは退職願、会社都合のときは退職届と使い分けましょう。
退職届は断言的な言い方に変える
退職願は、「一身上の都合により、退職させていただきたくお願い申し上げます」と書くのに対し、退職届は語尾を強めにしなければなりません。
お願いするのではなく、「退職させていただきます」と断言しなければなりません。
退職日が決まっていて、退職届を提出する場合や転職先などが決まっていてこの日までに辞めたいけれど会社が辞めさせてくれない。
という場合に退職届は効果があります。
しかし、トラブルの原因にもなりますので、退職を考えいきなり退職届を出すことはマナー違反ですので注意しましょう。
退職願は撤回が可能
退職願は、会社側に雇用契約を解除、つまり「辞めさせていただけませんか」とお願いするものです。
会社側が受理すれば退職となる場合が多いですが、退職日の変更を申し出たり、会社側から説得され心変わりした場合、退職願は撤回することができます。
報連相が社会のルールなので、いきなり退職願を出すのは非常識のレッテルを貼られてしまいますので、一度上司に退職の旨を口頭で伝えてみましょう。
退職について合意が得られたら、自分で退職願を用意するのか会社独自のテンプレートがあるか確認して、提出した方がマナーとしてよいでしょう。
退職願は撤回することができますが、何度も撤回するのは会社側に失礼にあたりますので、自分の退職の意思と上司などとしっかり相談してください。
退職届は受理された時点で退職の扱い
退職届は「会社を辞めさせていただきます」というはっきりとした意思表示になるため、会社側が退職届を受理した時点で記入した日付で退職という形になります。
一度受理されると撤回することができません。
円満に退職を進めるのであれば、退職願を提出して、退職日が決まってからトラブルを避けるために改めて退職届を出すのが一般的です。
こちらも会社側のテンプレートがあればそちらに記入し提出しましょう。
退職願を提出したのにどうしても受理してくれないという場合は、会社の就業規則があっても退職希望日の2週間前に退職届を内容証明で郵送することにより会社は退職届を受理せざるをえないので退職となります。
辞表は公務員や会社役員だけが使う
ドラマなどで辞表を出しているシーンをみたことはありませんか。
辞表は、民間企業の経営者や役職がついている人、公務員が会社をやめる場合に使います。
会社勤務のほとんどの人は、「雇用契約」を会社と結んでいますので、退職願や退職届を提出するルールになっているので、辞表は使いません。
公務員は行政からの要請で働く「委任契約」となりますので、その契約を辞めるというときに退職願や退職届ではなく、辞表を提出するのです。
どちらにせよ、これから会社に残るかたたちに引き継ぎ業務などもあるため、退職希望日をきちんと考えて提出しましょう。
退職願の書き方で注意すること
退職願は手書きで書くのがマナーですが、書くときに少しミスをしてしまうかもしれません。
書くときに注意することを解説していきます。
シワや汚れがある場合は書き直す
退職願を書くときは、精神的にも疲労し、緊張感も増しますよね。
せっかく綺麗に書いて最後に汚れてしまった場合やシワができてしまった場合は書き直しましょう。
会社との契約終了をお願いする重要な書類ですから、シワや汚れがあっては失礼にあたります。
会社で指定されている退職願のテンプレートがある場合も汚れやシワがあってはいけませんので、最初に何枚かもらっておきましょう。
美しく綺麗に仕上げた退職願を提出することでもらった相手も気分よく受け取ることができるかもしれません。
封入の作法を守る
退職願を書いて安心してはいけません。
封筒や折り方にもきちんとルールがあります。
封筒は、白色の郵便番号などが入っていない無地で二重構造になっているものが好ましいです。
A4の便箋を使用した場合は、長形3号の封筒を使います。
B5の場合は、長形4号の封筒を選ぶとよいでしょう。
便箋の折り方は、下の3分の1をまず折ります。
そのあと、上の3分の1を被せるように三つ折りにします。
封筒に入れるときは、三つ折りにする前の便箋の右上と封筒を裏面にしたときの右上が合わさるようにいれます。
このとき、汚れやシワにならないように細心の注意が必要です。
退職願を手渡しする場合は、封をしなくてもよいですがフラップは折り曲げるのがマナー。
郵送する場合や封筒にあらかじめ糊が付いている場合はしっかり封を閉じ、フラップと中央にかかるように「〆」と書きましょう。
誤字や脱字に気をつける
退職願を書くときに気をつけたいのが誤字・脱字。
途中で言葉が抜けていたり、漢字の間違いなどもマナー違反ですので注意しましょう。
書いてる最中はもちろん、完成した退職願もしっかり誤字・脱字がないか確認しましょう。
もし、退職希望日を間違えてしまったり、代表や会社の名前を間違ってしまっては社会人として、お世話になった会社に失礼です。
会社名や所属部署は省略せず、正式名称で記入しましょう。
省略したものも脱字となりますので注意が必要です。
また、文字の間隔が空きすぎていたり、つまりすぎている場合もバランスが悪く美しい退職願とはいえませんよね。
こういった場合も新たな用紙に書き直しましょう。
押印はシャチハタを避ける
退職願には自分の名前の下に押印しますが、シャチハタではく、必ず朱肉を使い、認印・捨印で押しましょう。
法律では退職願にシャチハタを使用することは禁止ではありませんが、日本の多くの企業はシャチハタを避ける現状があります。
自分ではシャチハタで大丈夫だと思っていても、会社によっては、シャチハタで押印した退職願をマナー違反だとみなし、書き直しとなるところもあるようです。
退職をお願いする大切な書類ですので、シャチハタやスタンプインクは避けたほうがよいでしょう。
印鑑を1本しか持っていないという方もいるかもしれません。
今は特殊な苗字以外の方は100円ショップなどでも安く印鑑が手に入りますので、この機会に1本購入しておいたほうがよいでしょう。
修正ペンやテープは使用不可
退職願は、修正ペンやテープはマナー違反です。
もし間違ってしまった場合は、最初から書き直すのがルール。
会社指定のフォーマット用紙が一枚しかない場合は、二重線を引き、訂正印を押し、正しい言葉を隣に書きます。
最初に用紙をもらうとき、何枚か余分にもらっておくとよいでしょう。
退職願は、自分と会社の契約解除をお願いする重要な書類です。
自分で退職願を用意する場合は、間違ってしまったものはきちんと最初から書き直しましょう。
そのまま提出することは社会人として常識がなってないという恥ずかしい行為になってしまいます。
忙しくて時間がないという方も間違って書いてしまったら、ビジネスマナーとして新しく退職願を書き直しましょう。
書き方に気を配り円満退職目指そう
退職願を書くまえにまずは上司に必ず相談しましょう。
業務上でも報連相という言葉が当たり前のように使われているように、いきなり退職願を提出することは社会人としてマナーがなってないという風に捉えられてしまいます。
退職願を書くときにも、ペンの種類や用紙の選択、封筒への入れ方、印鑑の種類などルールがたくさんありましたね。
今まで頑張って働いてきた会社ですから、退職願は感謝の気持ちが少しでも伝わるように、ぜひ手書きで書くことをおすすめします。
さまざまなルールを守り、書き方に気を配って円満に退職できるように準備しておきましょう。